2014 Fiscal Year Annual Research Report
生後6ヵ月未満児のインフルエンザ予防に関する疫学調査
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25293152
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大藤 さとこ 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70433290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 若葉 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70420734)
近藤 亨子 大阪市立大学, その他部局等, その他 (80420727)
前田 章子 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40250279)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 感染症 / インフルエンザ / 乳児 / 疫学 / ワクチン有効性 |
Outline of Annual Research Achievements |
【具体的内容】 本研究では、「生後6ヵ月未満児のインフルエンザ罹患・入院」に対する「妊婦のワクチン接種」の効果を検討することを主な目的としている。平成26年度は、この目的を達成するために、2013/14シーズン調査の情報をもとに、妊婦のワクチン接種状況、児のインフルエンザ罹患・入院を検討した。 シーズン中の発病調査の情報が得られた児は合計4,087人、在胎週数は平均39.3週、出生体重は平均3,009g、先天奇形を有した児は173人(4%)であった。年上の兄弟を有する児は1,753人(48%)、保育所・託児所に通所している児は292人(7%)であった。 シーズン中にインフルエンザ診断を受けた児は83人(2%)、インフルエンザで入院した児は18人(0.4%)であった。2013/14シーズンのワクチン接種を受けていた妊婦は1,604人(39%)、うち妊娠中にワクチン接種を受けた者は1,119人(27%)、出産後に受けた者は464人(11%)、接種時期不明21人(1%)であった。 【意義、重要性等】 「生後6ヵ月未満児」はインフルエンザ重症化のハイリスク集団であるが、インフルエンザワクチンを接種することができない。そこで、欧米では、「生後6ヵ月未満児」を世話する者(特に妊婦)へのワクチン接種を積極的に推奨している。しかし、「生後6ヵ月未満児のインフルエンザ罹患・入院」に対する「妊婦のワクチン接種」の効果を示した研究は、非常に少ない。本研究により、「生後6ヵ月未満児のインフルエンザ罹患・入院」に対する「妊婦のワクチン接種」の効果について、「妊娠中にワクチン接種を受けた場合」と「出産後にワクチン接種を受けた場合」の効果を別々に検討することが可能となる。これらの結果は、「児のインフルエンザ・入院」に対する「妊婦のワクチン接種」の効果についてのメカニズム考察に資する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
想定を大きく上回る妊婦の協力が得られたことにより、「生後6ヵ月未満児のインフルエンザ罹患・入院」に対する「妊婦のワクチン接種」の効果を検討する上で、十分な検出力が期待できる。また、十分な対象者数が確保できたことにより、「妊婦のワクチン接種」の効果について、「妊娠中にワクチン接種を受けた場合」と「出産後にワクチン接種を受けた場合」を別々に検討することが可能となり、メカニズムの考察に資することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
2013/14シーズン調査によると、インフルエンザ診断を受けた児は2%、妊婦のワクチン接種率は約30%であり、ワクチン有効性を検出するために必要なサンプルサイズは2,000人と算出された。この調査では、これを大きく上回る出生児の登録が得られており、「妊婦のワクチン接種」を「妊娠中のワクチン接種」と「出産後のワクチン接種」に分けて検討することが可能と考えられた。 そこで、今後は、2013/14シーズン調査で得られた情報について、データを十分に精査し、詳細解析を行なう。特に「生後6ヵ月未満児のインフルエンザ罹患・入院」に対する「妊婦のワクチン接種」の効果について、「妊娠中にワクチン接種を受けた場合」と「出産後にワクチン接種を受けた場合」を別々に検討することにより、「妊婦のワクチン接種」の効果についてのメカニズムを考察する。例えば、「妊娠中のワクチン接種」と「出産後のワクチン接種」の効果が同等であった場合、児と最も多く接するであろう母へのワクチン接種により母のインフルエンザ罹患が予防され、児への二次感染が予防された可能性が考えられる。一方、「妊娠中のワクチン接種」の効果が、「出産後のワクチン接種」の効果よりも高い場合は、妊娠中のワクチン接種で誘導された抗体の児への移行が、メカニズムに関与している可能性が考えられる。このように、これらの詳細解析から得られる内容は、児への移行抗体の直接的効果を検討することに先行して、必要な基礎資料である。 また、今後の解析では、妊婦中・出産後のワクチン接種行動に影響する背景因子(年齢、基礎疾患など)を明らかにし、「児のインフルエンザ・入院」を予防するため、「妊婦へのワクチン接種」を推奨すべき集団とその接種時期について、結論を得る。
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Causes of Carryover |
研究計画段階では、2013/14シーズン調査として200人程度の登録数を見込んでいたが、予想を大きく上回る妊婦の協力が得られたことにより、シーズン後の発病調査(督促を含む)や記入漏れ確認・問い合わせ作業に、かなりの費用と時間を要した。また、2013/14シーズン調査で得られた情報について詳細な解析を行なうことにより「児のインフルエンザ・入院」に対する「妊婦のワクチン接種」の効果についてのメカニズム考察が可能と考えられた。そこで、2013/14シーズン調査で得られたデータを十分に精査し、詳細解析を行なうため、2014年度から繰越した助成金を使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データクリーニングにかかる費用として、物品費15万円、人件費60万円、解析にかかる費用として、物品費10万円、その他経費20万円を使用する。また、結果公表のため、物品費10万円、旅費30万円、校閲10万円、投稿料7万円、を使用する。
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