2014 Fiscal Year Annual Research Report
レセプトデータ分析による糖尿病患者の受診状況と医療サービス利用及び血糖との関連
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25293160
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
馬場園 明 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90228685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今任 拓也 国立医薬品食品衛生研究所, その他部局等, 研究員 (20368989)
福田 治久 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30572119)
畝 博 福岡大学, 医学部, 教授 (40122676)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 疾病管理 / 糖尿病 / レセプト |
Outline of Annual Research Achievements |
健康診断を受診した被保険者と被扶養者を対象とし、糖尿病の治療状況とBMI変化がHbA1cに与える影響について定量的に明らかにすることを目的として、研究を行った。健康保険組合Aの被保険者と被扶養者のうち、2009年度とその2012年度の健康診断を受診したもののうち、HbA1cが6.1以上あるいは糖尿病治療中であり、腎不全がなく透析を受けていない112名を対象とした。なお、インスリンのみを使用しているものについては除外した。糖尿病薬については、インスリン分泌促進薬、αGI、インスリン抵抗性改善薬、インクレチン関連薬の4つに分類し、それぞれの使用実態を把握した。最後に、併用療法群のうち5名以下の群をその他2剤併用療法群、その他3剤併用療法群に集約した後に、肥満の有無で層別し、糖尿病薬の使用パターンごとの3年後の血糖及び体重変化のばらつきについて一元配置分散分析で明らかにした。一元配置分散分析の結果、非肥満群(59名)では血糖及び体重変化のばらつきが認められなかったが、肥満群(53名)の体重変化ではばらつきが認められた(F=2.453、P=0.024)。健診・レセプトデータの分析によって糖尿病薬の使用実態と肥満群における糖尿病薬の受療パターン間での体重変化のばらつきが明らかになった。インスリン分泌促進薬+インスリン抵抗性改善薬併用群以外の2剤併用療法群と4剤併用療法群でBMIが増加していたため、これらの群では体重増加の増加により深い注意が必要である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究は、福岡県に所在する健康保険組合の被保険者本人及び被扶養者であり、2009年度の健康診断を受診した6813名を対象としている。2009年度時点でHbA1cが6.1%以上もしくは経口糖尿病薬、インスリンを使用している者を糖尿病群として追跡を行い、健診受診の翌年度である2010年度のレセプトデータを突合することで、1年間の診療内容を追跡し、継続受診群、非継続受診群、未受診群に分類した。そして、2009年度を基準とした2011年度から2014年度までのHbA1cの変化量、2011年度から2014年度の医療サービス利用状況に関して、継続受診群を基準として非継続受診群、未受診群と比較する予定である。健診データとレセプトデータからなるデータベースの構築は順調に進んでいる。今年度は、疾病管理の評価の一環として健康診断を受診した被保険者と被扶養者を対象とし、糖尿病の治療状況とBMI変化がHbA1cに与える影響について定量的に明らかにすることを目的として研究を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
この研究は、福岡県に所在する健康保険組合の被保険者本人及び被扶養者であり、2009年度の健康診断を受診した6813名を対象とし、調査終了時点で40歳から74歳であり、平成21年度時点でHbA1cが6.1%以上もしくは経口糖尿病薬、インスリンを使用している者を継続受診群、非継続受診群、未受診群の3群に分類し、2014年度までの糖尿病関連疾患による入院リスクの比較、医療費・医療サービス利用状況を比較するものである。2015年度は、継続受診群を基準として非継続受診群、未受診群とHbA1cの改善度、糖尿病関連疾患による入院リスクの比較、医療費・医療サービス利用状況を比較し、受診状況がこれらの指標に与える影響を定量的に明らかにする。糖尿病関連疾患は、心筋梗塞・脳卒中・末梢血管疾患・腎疾患・高血糖症・低血糖症とする。なお、比較においてはプロペンシティスコアマッチングを行う。性、年齢、勤務地域、BMI、高血圧の有無、脂質異常の有無、肝機能異常の有無、貧血の有無、併存疾患及び生活習慣に関する項目等の対象の背景要因から、継続受診する確率、プロペンシティスコアを算出し、その値を用いて、継続受診群、非継続受診群、未受診群とそれぞれ1対1でのマッチングを行う。なお、最近値法を用いるが、プロペンシティスコアが0.02以上離れているものはマッチングを行わない。、連続変数の比較は一元配置分散分析、カテゴリ変数の比較はχ二乗検定を用い、交絡要因のコントロールには、重回帰分析及び多重ロジスティック回帰分析を用いる。
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Causes of Carryover |
平成26年度はデータベースに平成25年度と平成26年度の健康情報及びレセプト情報を追加し、糖尿病関連疾患による一般病棟への入院の有無及び2年間の総医療費、総診療日数、HbA1c変化量を目的変数とする統計解析を行うためのデータベースの整理を行う予定であった。しかしながら、対象健康保険組合からの平成26年度の健康情報及びレセプト情報の取得が遅れ、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度にデータベースの整理及びデータのクリーニングを行うために、人件費の計上を予定している。
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Research Products
(7 results)