2013 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫システムの制御を用いた膵炎の新規治療法の開発
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25293172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邉 智裕 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40444468)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膵炎 / 自然免疫 |
Research Abstract |
平成25年度においては、cholecystokinin アナログであるCeruleinとNOD1 ligandであるFK565の反復投与による慢性膵炎モデルの樹立に着手した。その結果、野生型C57BL6マウスに少量のCeruleinとNOD1 ligandを繰り返し投与することによって、膵臓に慢性炎症を誘導することに成功した。この慢性膵炎モデルでは膵臓に免疫細胞の浸潤(T細胞、マクロファージ)及びFibrosisが認められており、病理学的な慢性膵炎の特徴を有していた。この慢性膵炎モデルは予想通りNOD1を介する自然免疫反応の活性化により発症することを確認したが、興味深いことにI型IFN経路の活性化により発症することを見出した。また、どのような炎症性サイトカイン、ケモカインが関与しているのかについてスクリーニングを進めたところ、CXCL9、CXCL10、IL33が関与していることを明らかにした。このように、申請者らは少量のCeruleinとNOD1 ligandという組み合わせにより、慢性膵炎モデルの樹立に成功した。本モデルはCCK受容体の活性化と自然免疫経路(NOD1)の活性化の双方が関わって慢性膵炎を誘導するという新たなモデルであり、その分子機序としてNOD1-I型IFN-IL33という自然免疫経路が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度においては、1) Ceruleinの少量投与とNOD1 ligandの投与によって誘導される慢性膵炎モデルの樹立を行うこと 2) 膵炎の発症にかかわる腸内細菌について検討を進める予定であった。慢性膵炎モデルに関しては、樹立に成功し、CeruleinとNOD1 ligandの投与により炎症細胞浸潤と膵臓の線維化を伴う慢性炎症モデルを確立することができた。さらに、この慢性膵炎の発症においてはNOD1、IL-33、I型IFNの3者が重要な役割を果たしていることを見出し、膵炎発症につながる分子機序の一端を明らかにすることができた。その反面、膵炎の発症に関わる腸内細菌の同定は予想したほどの進展が得られず、腸内細菌の培養までの到達に留まった。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者はCeruleinの少量投与とNOD1 ligandであるFK565投与を野生型マウスに反復することにより慢性膵炎モデルの開発に成功している。この慢性膵炎モデルは少量のCCK アナログの投与とNOD1 ligandの投与を組み合わせることによって誘導されるユニークな慢性膵炎モデルである。さらに、興味深いことにNOD1欠損マウス及びI型IFN受容体欠損マウスはこの慢性膵炎モデルに抵抗性を有することを見出した。膵炎の発症に関わる自然免疫反応を解明するために以下のように研究を実施する。 1) 平成25年度において樹立した慢性膵炎モデルではI型IFN経路とIL-33が炎症細胞浸潤、膵臓の線維化に関わることを見出したが、IL-33、I型IFN、NOD1の三者の関係が解明されていない。膵臓組織におけるこれらの分子の発現を検討し、慢性膵炎の誘導機序を明らかにする。また、NOD1欠損マウス、I型IFN受容体欠損マウスを用いた骨髄キメラマウスを作成し、免疫細胞、膵臓腺房細胞におけるこれらの分子の役割を同定する。これらの実験を通して、NOD1-I型IFN-IL33という自然免疫経路が慢性膵炎の発症に関わる炎症細胞浸潤や膵臓の線維化をどのように誘導するのか?その機序を明らかにする。 2) 申請者らが樹立した膵炎モデルにおける腸内細菌の役割を検証する。様々な抗生剤投与により腸内細菌を清浄化したマウスにおいて、膵炎の発症が誘導されるのかどうかを検討する。また、膵炎の発症においてどのような細菌が病原性を発揮しているのか?同定を試みる。細菌をマウスに投与し、実験を行う予定である。 3) NOD1の活性化阻害が膵炎の発症を抑制するか否かについて、検討する。これにより、自然免疫反応の制御を用いた膵炎の新規治療法の開発を目指す。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] NOD2 downregulates colonic inflammation by IRF4-mediated inhibition of K63-linked polyubiquitination of RICK and TRAF62014
Author(s)
Watanabe T, Asano N, Meng G, Yamashita K, Arai Y, Sakurai T, Kudo M, Fuss IJ, Kitani A, Shimosegawa T, Chiba T, Strober W
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Journal Title
Mucosal Immunol
Volume: in press
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed
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