2013 Fiscal Year Annual Research Report
心筋前駆細胞移植床による新生心筋の起源と分化・分裂・増殖因子の網羅的解析
Project/Area Number |
25293180
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
永井 敏雄 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00334194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小室 一成 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30260483)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心筋前駆細胞 / side population細胞 / DNA傷害 / 細胞移植 / 心筋再生 |
Research Abstract |
平成25年度は、leukemia inhibitory factor(LIF)による心筋幹/前駆細胞を介した心筋再生促進機序を解明するために、LIF遺伝子導入(LIF)群と非導入(Ct)群の心臓side population(SP)細胞について解析した。LIF群ではCt群に比較して心筋梗塞後の心臓SP細胞の核内BrdU陽性率が高く、これは、酸化ストレスにより惹起されたDNA損傷に対する修復を反映していると考えた。まず、心筋梗塞後の心臓SP細胞について検討しすると、γ-H2AX、リン酸化ATM、53BP1陽性のDNA損傷および修復部位が健常マウスに比較して増加していた。RAD51については差が無かった。このことは、心臓幹/前駆細胞ではnon-homologous end joiningがDNA修復機序に主に寄与していることを示唆する。また、心筋梗塞後のLIF群とCt群のSP細胞では、LIF群においてγ-H2AX、リン酸化ATM陽性部位が少なかった。 次にPuraMatrixTM内で心筋前駆細胞を培養した移植床を、心筋梗塞を作成したα-MHCCreLacZマウス(新生心筋を同定可能な遺伝子改変マウス)に移植して、4週間後に組織切片により心筋新生効果を確認した。非移植対照群に比較して心筋新生効果が高い部位を確認後に、連続組織切片より、レーザーマイクロダイセクションにより心筋組織を採取し、質量分析により移植群に特異的な蛋白を同定した。本年度は同定された蛋白の発現の確認と作用機序について検討する。 心筋細胞の分裂・増殖による心筋新生の動態を検討するために、心筋を多色標識可能なタモキシフェン誘導型rainbowマウスについて、タモキシフェンの投与量、投与期間と多重蛍光色素の発色検出条件を確立した。本年度は、心筋傷害モデルにおけるBrdU取り込みと併用して検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は心筋梗塞後に単離した心臓SP細胞のDNA傷害を定量的に解析し、leukemia inhibitory factorによりin vivoでDNA傷害を軽減している事を示唆する所見が得られた。心臓前駆細胞移植床を移植した心筋梗塞モデルマウスを用いて、心筋新生が認められた心筋組織の蛋白発現を網羅的に解析し、移植群と非移植群を比較した。また、心筋細胞をタモキシフェン誘導下で多色蛍光標識できるrainbowマウスを確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
leukemia inhibitory factorと心臓SP細胞のDNA傷害と修復に関しては、in vitroの実験系を確立して詳細に検討する。心筋組織の蛋白発現の比較解析から得られた結果をもとに、発現蛋白を免疫組織染色およびウエスタンブロッティングで確認し、機能解析を行う。rainbowマウスに関しては、心筋傷害モデルを作成してBrdUの心筋細胞への取り込みと併用して同一系譜の心筋細胞の分裂動態を確認できるか検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
α-MHCCreLacZダブルトランスジェニックマウスの個体数のため、平成25年度に予定していた、心臓前駆細胞移植床を移植したα-MHCCreLacZマウスに認められる新生心筋の系譜と増殖動態の解析を行うことができなかった。また、レーザーマイクロダイセクションから得られる組織のタンパク量が少なかったため、蛋白発現については定性的解析に留まった。 α-MHCCreLacZダブルトランスジェニックマウス胎生期と心筋梗塞作成後にBrdUまたはEdUをそれぞれ投与し、マウス心筋幹/前駆細胞由来の新生心筋細胞と細胞周期に入った新生心筋細胞を同一個体で標識する方法を用いて解析する。また、心筋前駆細胞移植床を移植したマウスの心臓全体から抽出したタンパクを用いてより定量的な解析を行う。
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Research Products
(4 results)