2014 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症の分子病態解明と新たな治療法開発研究
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25293202
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
阿部 康二 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20212540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 徹 岡山大学, 大学病院, 講師 (60644408)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ALS / Asidan / SCA36 / リピート病 / NOP56 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年我々が報告したAsidanは、脊髄小脳変性症様の小脳障害に加え、ALSに類似した運動ニューロン障害を呈する新たなタイプの遺伝性神経変性疾患であり、その原因が20番染色体のNOP56遺伝子内のGGCCTGリピート延長であることを既に報告している。 そこで平成26年度は、Asidan患者の剖検脳組織をHE染色、免疫組織学的検討ならびにFISH法を用いて詳細に検討を行った。 結果として、①ユビキチン陽性、p62陽性の封入体がAsidan患者剖検脳の下オリーブ核に存在すること。② 約10umの直径をもつ巨大なRNA foci(伸長GGCCUGリピート転写産物の凝集体)が小脳プルキンエ細胞、脊髄運動ニューロン、下オリーブ核に存在することが明らかになった。 GGCCUGと結合しやすいとコンピューター上で推定された転写因子SRSF2は、患者リンパ芽球でGGCCUG RNA fociと共局在すること、またGGCCTGリピート近傍に存在するMIR1292の発現も低下することも我々は報告している。 以上の結果から、高度に伸長したGGCCTGリピートの転写産物が、他のRNAやmiRNAの機能を阻害し細胞毒性を生じるRNA gain of functionの可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に運動ニューロン病の病態解析、Asidan関連の論文だけで4本の英語論文が発表できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の臨床現場での応用技術開発を踏まえ、実際のALS患者のサンプルや画像解析を積極的に進めていく。また新規治療法をにらんだALSに対するタンパク療法や、再生医療の検討も進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、主に剖検脳サンプルを用いた免疫染色ならびにFISH法での解析を行った。 そのため、当初予想された額より動物飼育費等の実験費用等がかからず、平成26年度未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は移植実験を含めた動物実験が増え、その飼育費費用等が当初予想よりかかることが予想されるため、平成26年度の未使用額はその費用に充当する予定である。以上のことを踏まえ、平成27年度は、25、26年度に行った分子メカニズム解明のための研究データをまとめ、臨床的研究を継続すると共に、有効なALSの治療法開発へ向けて以下の検討を行う予定である。 1. ALSに対する骨髄移植療法およびG-CSF療法 2.ALSに対するiPS細胞やダイレクトリプログラミング法を用いた再生療法
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