2014 Fiscal Year Annual Research Report
コネキシンサイトパチーによる脱髄性疾患の誘導機構の解明と新規分子標的療法の開発
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25293204
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉良 潤一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40183305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 拓也 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00533001)
山崎 亮 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10467946)
真崎 勝久 九州大学, 大学病院, 助教 (90612903)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コネキシン / 多発性硬化症 / 視神経脊髄炎 / グリアシンシチウム / アストロサイト / オリゴデンドロサイト / エネルギー供給障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)、視神経脊髄炎(neuromyelitis optica: NMO)、Baló病の脱髄病巣におけるコネキシン(connexin: Cx)蛋白の神経病理学的解析が完了し、急性期の脱髄病巣では共通してアストロサイトのCx43脱落が広汎に認められることを見出した。これら一連の研究成果を英文総説として発表した(Masaki K. Neuropathology, in press)。脱髄病巣におけるCx43脱落機序を解明するために、マウス大脳由来初代培養アストロサイトを用いてCx43発現を変化しうる因子を検討した。その結果、T細胞サブセットの中でもTh1細胞由来の液性因子がCx43発現を低下させることを見出した。一方、Cx43脱落と脱髄の関連をin vivoで評価するために、当科では新たな遺伝子改変マウスを作製している。現在までにTamoxifen によりinducible なアストロサイト特異的Cx43 conditional knockout(cKO)マウスの作成に成功した。また、Cx30 KOマウスにEAEを誘導し、視神経でミクログリアの活性化が亢進していること、軸索障害が生じていることを見出した。さらに、グリアシンシチウム破綻の観点から、中枢神経系に広く発現するグルコーストランスポーター(glucose transporters: GLUTs)および乳酸トランスポーター(monocarboxylate transporters: MCTs)の脱髄病巣における変化について解析した。その結果、アストロサイトの血管周囲足突起に発現する monocarboxylate transporter 4 (MCT4)の急性期病変での脱落を発見した。一方、血管内皮細胞に発現するglucose transporter 1 (GLUT1)や MCT1は保持されており、グリア細胞を介した栄養供給経路に障害がある可能性を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コネキシンに関する神経病理学的検討は完了し、in vitro実験系の立ち上げやin vivo実験のための新規遺伝子改変マウスの作製など予定通り進行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
In vitro実験では、Cx43発現におけるT細胞因子の影響に加え、活性化ミクログリアや活性化マクロファージの関与についても検討を進めていく。T細胞、ミクログリア、マクロファージはいずれも急性期脱髄病巣における浸潤細胞であり、どの因子が主としてCx43脱落を生じうるかについて細胞性因子や液性因子など広く探索する。また、これらの因子が実際にCxを介する細胞間情報連絡に影響しうるか、scrape loading法(当科での実験系は既に確立している)による検討も進めていく。In vivo実験については、inducible Cx43 cKOマウスやCx30KOマウスにEAEを誘導し、臨床的重症度や脱髄病巣の病理学的変化などの解析を推進する。オリゴデンドロサイトに発現するCx47やCx32をtamoxifen誘導により特異的に脱落できる遺伝子改変マウスも新たに作成を進めている。さらに、前述のGLUTsおよびMCTsの神経病理学的解析についても、NMOやtumefactive multiple sclerosis、Baló病の剖検標本を用いて順次評価していく。これにより、中枢神経系において血液脳関門からアストロサイト、オリゴデンドロサイトなどのグリア細胞を介して神経細胞や軸索に至るまでの栄養供給経路と、各疾患特異的な障害部位を解明できると考えている。
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Causes of Carryover |
使用予定であった抗体や試薬を一部使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
各種実験の試薬や抗体などに適宜使用予定である。
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Research Products
(16 results)