2013 Fiscal Year Annual Research Report
2型糖尿病における膵α細胞機能障害の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
25293208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
北村 忠弘 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (20447262)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | α細胞 / グルカゴン / FoxO1 / ATF3 |
Research Abstract |
2型糖尿病では、膵α細胞におけるグルカゴン分泌抑制の障害が認められる。通常、食後にグルカゴン分泌が低下するが、2型糖尿病では、この低下反応が障害されている。しかしながら、そのメカニズムについては不明である。本研究課題においては、グルカゴン遺伝子の転写を調節する可能性がある2つの転写因子、ATF3とFoxO1に着目して研究を行った。まず、αTC細胞を種々のグルコース濃度(0, 1, 5, 25mM)で培養後、グルカゴンのmRNAレベルとグルカゴンプロモーター活性を定量RT-PCR法とルシフェラーゼアッセイを用いて解析した所、低グルコース濃度によってグルカゴンのmRNAレベルとグルカゴンプロモーター活性が上昇することが明らかとなった。また、ATF3の発現量依存性にグルカゴンプロモーター活性は上昇した。一方、高脂肪食飼育マウスとdb/dbマウスのラ氏島細胞におけるATF3とFoxO1の発現レベルを、組織免疫染色を用いて検討したが、コントロールマウスと比べて有意な差は認められなかった。また、これらのマウスからラ氏島を単離し、定量RT-PCRを用いてATF3とFoxO1のmRNA量を解析したが、やはり有意な差は認められなかった。さらに、Glucagon-CreマウスとATF3 floxマウス、あるいはFoxO1 floxマウスを交配し、α細胞特異的ATF3ノックアウトマウスとα細胞特異的FoxO1ノックアウトマウスを作製したが、現在の所、これらのマウスの血糖値、及び糖負荷試験での耐糖能に変化は認められていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞を用いた基礎的検討は順調に進み、仮説を検証する有意義な結果を得られている。また、当初予定だったα細胞特異的ATF3ノックアウトマウスとα細胞特異的FoxO1ノックアウトマウスの作製に成功している。現在の所、これらのマウスで有意な表現型の違いを認めていないが、今年度以降の継続研究において、その成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今回解析したマウスの匹数が少ない為、現在までα細胞特異的ATF3ノックアウトマウスとα細胞特異的FoxO1ノックアウトマウスにおいて有意な表現型の違いを認めていない。今後、さらにこれらのマウスの匹数を増やして検討を続ける予定である。また、これらのマウスの血清グルカゴン値と血清インスリン値、さらに膵臓の組織学的解析に関しても今後検討する予定である。
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