2013 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージ脂肪毒性の解除を利用した新規動脈硬化治療法の開発
Project/Area Number |
25293213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
石橋 俊 自治医科大学, 医学部, 教授 (90212919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大須賀 淳一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (10334400)
永島 秀一 自治医科大学, 医学部, 助教 (30406136)
高橋 学 自治医科大学, 医学部, 助教 (70406122)
坂井 謙斗 自治医科大学, 医学部, ポストドクター (30646352)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コレステロール / オキシステロール / 動脈硬化 / マクロファージ / アポトーシス / 小胞体ストレス / リパーゼ / エステル |
Research Abstract |
Nceh1KOマウス由来のチオグリコレート誘発腹腔マクロファージ(TGEMs)を用いて、オキシステロールによる小胞体ストレスとアポトーシス誘導機序に関する検討を行った。培養Nceh1KO由来TGEMsに10μg/mlの25-ヒドロキスコレステロール(25-HC)、7-ケトコレステロール(7-KC)、27-ヒドロキシコレステロール(27-HC)を添加すると、TUNEL陽性死細胞数が増加し、Chop、sXbp1の発現増加が観察された。25-HCによる効果が最も大きかった。そこで、Acat1を阻害する非選択的阻害剤CS-505とAcat1選択的阻害剤K-604には25-HC添加によってNceh1KOTGEMsに誘導されるアポオーシスと小胞体ストレス増強効果を抑制したが、Acat2選択的阻害薬ピリピロペンA(PPPA)には抑制効果がなかった。従って、25-HCエステルの蓄積が胞体ストレス誘導に中心的に作用していると考えられた。そこで、小胞体ろ細胞質を分画し、それぞれに含まれる25-HCと25-HCエステルをLC-MS/MSを用いて定量した。その結果、小胞体と細胞質で25-HCエステルが著明に増加し、遊離25-HCも細胞質で増加した。小胞体で蓄積した25-HCエステルが、脂肪滴として細胞質にも移行して蓄積するたと考えられた。 動脈硬化形成への関与を確認する為に、Nceh1KO、Acat1KO、Nceh1/Acat1DKOの骨髄をLDLRKOに移植後、Paigendietで2ヶ月飼育して、動脈硬化病巣面積と動脈のオキシステロール含量を定量した。Nceh1KOから骨髄移植を受けた群では、他のマウスから骨髄移植を受けた群に比較して、病変面積が大きかった。更に、25-HCエステル、また、24-HC、24-HC、7-KCのエステル体の有意な増加がNceh1KOから骨髄移植を受けた群で確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Nceh1をマクロファージ特異的に過剰に発現するトランスジェニックマウスを初年度に樹立する予定だった。floxed-LacZ-Nceh1マウスを樹立し、更にCre をマクロファージ特異的の発現するLys-Creマウスと交配して、floxed-LacZ-Nceh1とCreを同時に発現するマウスを樹立した。LacZが外れて、CAGプロモーターによってNceh1の発現はマクロファージで誘導されると当初予想したが、実際には、Nceh1の誘導を確認できていない。マイクロインジェクションに用いたプラスミドに損傷のあった可能性等の考慮し、再度、in vitroで系の完全性を確認後、マイクロインジェクションを継続して、複数のファウンダーで確認する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
floxed-LacZ-Nceh1プラスミドをin vitroで確認し、マイクロインジェクションを継続して、Nceh1をマクロファージ特異的に過剰に発現するトランスジェニックマウスの作成を継続する。CRISPR Cas9の方法の採択も検討する。所定のトランスジェニックマウスが取得できれば、マクロファージのオキシステロール代謝、小胞体ストレス誘導機序に関する実験を行う予定である。 実績報告に記載したように、Nceh1KOTGEMsで25-HC誘導性小胞体ストレスの増強効果が顕著であった。小胞体ストレスシグナル分子例えばIREやPERKのリン酸化等も丁寧に調べ、必要があれば、Chop等の下流シグナル分子のノックダウンやノックアウトを用いて、下流の機序を更に解明する。 25-HC以外の基質を調べる為に、LC-MS/MSを用いて、包括的な脂質分析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
トランスジェニックマウス作成に遅延が生じたため、次年度に作成継続する。そのための費用が必要であり、更に、解析が延期されたため、次年度使用額がが生じた。 トランスジェニックマウス作成のベクターの再マッピング、再シーケンス。HEK293細胞にトランスフェクとし、更にAd-Creを感染して、floxedLacZが外れ、Nceh1が過剰発現されるかを確認する。前核でのマイクロインジェクションも継続し、多数のファウンダーを確保する。必要に応じて、CRISPR Cas9のシステムに切り替える。
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Research Products
(1 results)