2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25293237
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
嶋 緑倫 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30162663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 英人 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00571027)
堀田 秋津 京都大学, 学内共同利用施設等, 助教 (50578002)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血友病A / 遺伝子治療 / 細胞治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
血友病Aは血液凝固第Ⅷ因子(FⅧ)の量的・質的異常による先天性出血性疾患である。現在我が国では、血漿由来あるいは遺伝子組換えFⅧ製剤の定期補充療法が行われており、患者QOLは格段に改善された。しかし確実に出血を防ぐためには最低週3 回FⅧ製剤を経静脈投与することが必要で、いまだに患者や家族の身体的・心理的負担には絶大なものがある。さらに、過去に血液製剤に起因する肝炎ウイルスやHIV感染症が大きな社会問題となった我が国の歴史的背景からもより安全かつ有効な新規治療法の確立が求められている。 最近、血友病B患者に対し、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を用いた遺伝子治療の臨床試験が欧米で実施された。その結果、一定期間凝固第Ⅸ因子(FⅨ)の発現は確認されたものの、ベクターや発現蛋白に対する免疫応答が発生し、肝臓などに機能障害が認められるなど安全性は確立されていない。血友病Aに対するウイルスベクターを用いた遺伝子治療は、導入する遺伝子であるFⅧcDNAが7kbとFⅨと比べ非常に大きいために臨床応用をめざした研究の進展には至っておらず、新たな戦略が必要である。 次世代の血友病A治療の必要条件として1)患者に対する侵襲が軽微である。2)免疫応答を回避でき、仮に不側の事態には治療が中断できる。3)長期間治療効果が持続する。の3つが挙げられる。我々は、これらすべて満たす治療法のひとつとして、自己細胞にex vivoでFⅧ遺伝子を導入する細胞治療が有効と考え研究を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血友病Aイヌへの適性試験として正常犬における細胞シートの生着状況を確認した。単離培養したイヌBOECsをex vivoでGFP発現レンチウイルスベクターで遺伝子導入後、温度応答性培養皿で培養後、イヌBOECsシートを作成した。全身麻酔下で開腹後、胃大網を露出させ、GFP発現BOECsシートを胃大網へ移植した。その結果移植30日後生検を行った。胃大網は肉眼上、細胞シート移植部位に一致してGFP蛍光を発色しており、また同部位の組織学的検索では、脂肪組織層内にGFPを発現する血管内腔構造形成を多数確認した。移植されたBOECsシートが拒絶反応なしに生着し、血管内皮へ分化したことが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
イヌ自己末梢血からBOECsを単離しex vivoでFⅧ遺伝子を導入後胃大網へ移植する自己細胞治療を血友病Aイヌモデルで検討を開始する予定である。既知の方法で単離培養したイヌBOECsに、イヌFⅧ発現レンチウイルスベクターでイヌFⅧ遺伝子をex vivoで導入した。イヌFⅧ遺伝子を導入したイヌBOECsは、十分なFⅧ活性を発現していることをin vitro assayで確認している。移植方法はフィブリン糊による移植と細胞シート移植の両方を検討する予定である。
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Research Products
(5 results)