2013 Fiscal Year Annual Research Report
治療応答に伴うミトコンドリア機能変化に反応する新規がんイメージング薬剤の開発
Project/Area Number |
25293262
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
間賀田 泰寛 浜松医科大学, メディカルフォトニクス研究センター, 教授 (20209399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪原 晴海 浜松医科大学, 医学部, 教授 (10187031)
高島 好聖 浜松医科大学, メディカルフォトニクス研究センター, 助教 (70525592)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放射線 / 薬学 / イメージングプローブ / がん |
Research Abstract |
本研究は、がん細胞の放射線治療や分子標的薬等による化学療法といった治療応答に伴う細胞機能変化、特に「アポトーシス」、「酸素」といったキーワードと関連の深いミトコンドリア機能変化について着目し、臨床応用可能ながん治療方針の決定・効果予測、治療効果の早期判定システムの確立を目指すことを目的として、新規イメージング薬剤を開発することとしており、以下の研究項目が挙げられる。 ①ミトコンドリア膜電位依存的集積を示す新規イメージング薬剤の開発。 ②ミトコンドリア酸化還元電位依存的集積を示す新規イメージング薬剤の開発。 ③インビトロ、インビボ実験系により、上記イメージング薬剤の最適化と、それによるがん治療法の選択・効果予測、治療効果早期判定を可能とするシステムの確立と臨床適用。 ④治療抵抗性を示すがん幹細胞の腫瘍生化学的検討へのアプローチ。 本計画に従い、当該年度はミトコンドリア電位に依存的に取り込まれた後、細胞膜表面に存在する多剤耐性機構により排出されずに貯留させることを目的として、スチルベン含有化合物をデザインし、放射性ヨウ素標識を行うための原料合成を行った。この際、ミトコンドリア電位に依存的に取り込ませるため、ホスホニウムカチオンを活用することとし、スチルベンの一側にホスホニウム基を導入することとしたが、非常に酸化を受けやすく、その取扱いに工夫を要し、また、このことは引き続き実施する放射性ヨウ素標識反応およびHPLCによる分取精製において一層の注意を要することを示す重要な知見となるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度計画に従い、大きく2種類のアプローチによりミトコンドリア機能を画像化し得る放射性薬剤の開発に着手した。 すなわち、ミトコンドリア電位に依存的に取り込まれた後、細胞膜表面に存在する多剤耐性機構により排出されずに貯留させることを目的として、スチルベン含有化合物をデザインし、放射性ヨウ素標識を行うための原料合成を行った。この際、ミトコンドリア電位に依存的に取り込ませるため、リン誘導体カチオンを活用することとし、スチルベンの一側にホスホニウム基を導入することとしたが、非常に酸化を受けやすく、その取扱いに工夫を要し、その対応に時間を取られたため、当該化合物放射性標識体の大量合成までは出来ていない。しかしながら当該放射性標識体についての合成可能性にについてのプレリミナリな検討は開始しており、本化合物開発について概ね順調に進展していると考えられた。 また、もう一件については、化合物デザイン検討を実施し、いくつかの候補化合物を検討した。その中から合成の容易性の観点から最初の化合物を選択し、原料合成と標品合成を行った。また、さらに当該原料を用いてC-11標識反応についてプレリミナリな検討を行い、所期の通りの反応が進行することを確認した。 上記の通り、当該年度の予定である化合物デザインとその準備について完了させることが出来た。それらを用いたインビトロ実験・動物実験は26年度に実施することとし、またイメージング研究に伴い必要となる画像データの保存方法について確立することが出来たことにより、本研究の予定について概ね順調に進行することが出来たと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度にデザインし、得られた化合物の放射性標識体をインビボイメージングに必要となる量まで合成し、当初予定に従い、それを用いてインビトロ実験、インビボ実験、イメージング実験へと進めていく。また、既存のがんイメージング剤との比較を行い、当該化合物の有用性について評価することとする。また、Cu-ATSMを活用したC-11標識体に関する検討についても進めていく。可能であれば、担癌モデル動物での治療効果判定における当該化合物の有用性について検討を進めていく予定である。これにより当初予定した研究計画に従い遂行することがかのうとなるものと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度にスチルベン含有化合物をデザインし、その合成について検討を行ったが、化合物の不安定性のため、その解決に時間を要した。標識体の大量合成まで進める予定であったが、反応の可能性を確認するにとどまり、費用が大きい放射性同位元素購入費用の一部とインビトロ実験に使用する経費の一部が翌年度に繰り越しとなったため。 既に反応が進行することを確認出来ているので、速やかに当該標識体の合成を行い、得られた化合物のPOCを得るための検討を進める計画である。
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