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2013 Fiscal Year Annual Research Report

外科手術後癒着形成分子機構に基づく新規包括的癒着制御法の開発と探索医療の模索

Research Project

Project/Area Number 25293280
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

Research InstitutionHyogo Medical University

Principal Investigator

藤元 治朗  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (90199373)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 中西 憲司  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60172350)
飯室 勇二  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30252018)
平野 公通  兵庫医科大学, 医学部, 講師 (90340968)
小坂 久  兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00532251)
大橋 浩一郎  兵庫医科大学, 医学部, 病院助手 (50573987)
善本 知広  兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60241171)
Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords外科 / 癒着制御法 / 肝切除術 / 胆・膵手術
Research Abstract

マウスを用いて部分肝切除術による腹腔内癒着モデルを作成、このモデルを用いて、T細胞を経由する免疫応答の研究および血液凝固系との関連を研究した。CD4(+)T細胞(特にNKT細胞)の産生するIFN-γが重要であり、IFN-γが肝臓において肝細胞(hepatocyte)に作用してSTAT-1のシグナル伝達を介してPAI-1を産生することを見出した。通常、出血にともない血液凝固系が働き、Tissue factor産生がtriggerとなり、凝固カスケードが働き、トロンビンが形成され、フィブリン形成となる。一方で凝固線溶系が働き、t-PAによりplasminogenがplasminに変換され、fibrinが溶解される。PAI-1とtPAはreciprocal balanceを保っているが、PAI-1の過剰状態になりfibrinが蓄積され癒着形成となることが判明した。このメカニズムはIFN-γ-KO, STAT-1-KO, PAI-1-KOマウスでは肝切除後の癒着が制御され、より明確に裏付けされた。またHGFを用いると癒着は制御され、IFN-γの抑制が認められた。
ヒト肝切除術において、切除肝臓組織を用いて研究した(兵庫医大倫理委員会承認済み)。ヒト肝組織においても切除後はIFN-γが上昇し、PAI-1の発現が上昇していた。免疫染色にて肝細胞においてPAI-1過剰産生が証明された。また同様に蛍光免疫染色法において、切除肝組織において、NKT細胞が集積されていることも判明した。
これらの事実から肝切除後の癒着形成は以下の細胞分子機構により制御されていることが判明した。①切除・侵襲を受けた組織の末梢神経末端よりneuropeptideであるsubstance-Pが分泌される。②この刺激を受けCD4(+)T細胞、特にNKT細胞からIFN-γが産生され、肝細胞に働きPAI-1を過剰産生する。③PAI-1がtPAを阻害し、線溶系を抑制し、fibrin遺残により癒着が形成される。④HGFは癒着を制御する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

肝切除術後の癒着についてマウスモデルにおいてsubstanceP-IFNγ-PAI1-tPAという一連の分子機構が確認された。また、重要課題であったヒト肝切除術においても同様の機構が働いていることが明らかになり、今後の臨床における治療の可能性を示唆した。もう一つ踏み込みたい点としては(1)substance-Pが実際にどのようなメカニズムでNKT細胞に作用したのか?これはin vitroの実験系でNKT細胞にSPを作用させ、実際にIFN-γが産生されるか否かを検証する必要がある。(2)IFN-γが実際にいかに肝細胞に働いてPAI-1を産生するか、検証する必要があると考えられる。このことは初代培養肝細胞を用いてIFN-γをin vitroで作用させ、検証することが肝要であると思われる。
当初の今年度の目的であった肝切除後の癒着の大筋のメカニズムは細かい点を除けば解明されたと考えられ、またヒト肝切除でも証明されたことは大変大きな意義を有している。

Strategy for Future Research Activity

基礎的なメカニズムは大筋では解明できたので次の2年間は探索医療・臨床研究を目指した基礎研究となる。これまでの研究で(1)CD4(+)T細胞を中心とした免疫応答、(2)PAI-1を中心とした凝固線溶系応答、が重要であるので、免疫応答に関してはFK-506とステロイド、凝固系に関してはトロンボモジュリン(以下TM)、を可能性のある重要な癒着制御分子であると位置づけている。これらはそのメカニズムから考えてもFK-506はT細胞応答制御分子であり、TMは抗トロンビン作用およびPAI-1抑制分子であることが明らかになっている。さらに重要な点は臨床の現場で実際に使用されている薬剤であり、HGFと比較すると臨床研究における可能性は高いと考えている。平成26年度はFK-506・TMを用いてマウス腸管癒着モデル・肝切除モデルにおいてまずはその効果・副作用を検討する。癒着スコアによる肉眼的検討・病理組織学的検討・分子細胞学的検討を実施する。すでにこの実験系は兵庫医大動物実験計画の承認を得て4月より開始しており、検討を継続する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

金額が135円と少額であり、使用できず、次年度に繰り越した。
次年度の直接経費と合算し、データ整理に必要な文具に使用予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2014 2013

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Interferon gammma and plasminogen activator inhibitor 1 regulate adhesion formation after partial hepatectomy.2014

    • Author(s)
      Ohashi K, Yoshimoto T, Kosaka H, Hirano T, Iimuro Y, Nakanishi K, Fujimoto J.
    • Journal Title

      Br J Surg (in press)

      Volume: 101 Pages: 398-407

    • DOI

      10.1002/bjs.9405

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 肝切除後における癒着形成のメカニズム2013

    • Author(s)
      大橋浩一郎、小坂久、平野公通、飯室勇二、藤元治朗
    • Organizer
      第11回日本消化器外科学会大会
    • Place of Presentation
      グランドプリンスホテル新高輪
    • Year and Date
      20131011-20131012

URL: 

Published: 2015-05-28  

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