2013 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌に対する細胞内侵入活性を有する免疫細胞をキャリアとするウイルス療法の開発
Project/Area Number |
25293283
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤原 俊義 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00304303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香川 俊輔 岡山大学, 大学病院, 講師 (00362971)
白川 靖博 岡山大学, 大学病院, 講師 (60379774)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / 細胞・組織 / 医療・福祉 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
分子標的医薬品など消化器癌に対する有効な新薬が開発されてきているが、腹膜播種や遠隔転移を来たした場合は極めて難治性である。Telomelysinはテロメラーゼ依存性に癌細胞を殺傷する腫瘍融解アデノウイルス製剤であるが、腹腔内投与や全身投与では中和抗体による不活化で効果が著しく減弱する可能性がある。本研究では、生体内で癌細胞指向性(ホーミング機能)を有し、細胞内侵入(Cell-in-Cell)活性を持つ免疫細胞HOZOTをキャリア細胞としてTelomelysinの抗腫瘍活性を検証し、難治性消化器癌を標的とする新たな治療戦略を構築することを目的とする。 平成25年度は、ヒト臍帯血からのHOZOTの分離培養を定型化し、ドナー臍帯血から十分量のHOZOTを凍結保存した。次に、in vitroにおいてHOZOTへのGFP発現Telomelysin(TelomeScan)の感染効率を検討したところ低効率であったため、ウイルス表面タンパク質のファイバーを35型アデノウイルスのファイバーに置換した新規ウイルスTelomeScan/F35を作成した。TelomeScan/F35の癌細胞に対する殺細胞効果が強いこと、かつHOZOT自身への細胞障害活性が低いことを確認し、HOZOT にTelomeScan/F35を感染させたAd-HOZOTを用いて以後の実験を行うこととした。また、並行して蛍光ラベルしたHOZOTと非侵襲的in vivoイメージングシステムIVISを用いて、正常および担癌マウスにおけるHOZOTの生体内動態を観察したところ、肺を中心にHOZOTは全身に分布し、担癌マウスでは背部腫瘍に集積することが確認できた
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、ウイルス表面タンパク質のファイバーを35型アデノウイルスのファイバーに置換した新規ウイルス製剤TelomeScan/F35を作成し、そのHOZOTへの感染効率や抗腫瘍効果を確認した。また、HOZOTの生体内動態と腫瘍集積性を確認でき、本研究の基盤となる知見が検証できたことで、計画はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降は、in vivoで各種マウス担癌モデル(背部腫瘍、腹膜播種、肺転移、etc.)を用いて、Ad-HOZOTの生体内動態、腫瘍集積性、抗腫瘍効果および組織学的変化などを検討し、難治性消化器癌に対する新たな全身投与可能なハイブリッド型ウイルス治療のトランスレーショナル・リサーチの可能性を追求していく。具体的には、以下の実験を行う。 1)Ad-HOZOTに対する抗アデノウイルス抗体の影響の検討:段階希釈した抗アデノウイルス抗体を各ウェルに添加し、in vitroにおいてAd-HOZOTの抗腫瘍効果を比較検討する。中和抗体によってウイルス単独の効果は不活化されるはずであるが、Ad-HOZOTではキャリア細胞が抗体のウイルス結合を回避するため、抗腫瘍効果は維持されると推測される。さらに、三次元スフェロイド培養下での中和抗体の影響も、タイムラプス観察を行い同時に確認する。 2)担癌マウスにおけるAd-HOZOTの生体内動態と抗腫瘍効果の検討:HOZOTにTelomeScan/F35を感染させ、ヌードマウスの背部腫瘍モデルあるいは同所性胃癌腹膜播種モデルにおいて、腹腔内投与および尾静脈内投与による全身投与を行う。腫瘍径の経時的変化や生存期間などを比較検討し、蛍光実態顕微鏡などを用いてAd-HOZOTの生体内分布、癌組織への集積性、in vivoにおけるCell-in-Cell現象の確認を行う。 3)In vivoにおけるAd-HOZOTに対する抗アデノウイルス抗体の影響の検討:In vitroと同様に各種濃度の抗アデノウイルス抗体を担癌マウスの腹腔内に投与し、その後にウイルス単独およびAd-HOZOTによる治療実験を行い、抗腫瘍効果やウイルスの腫瘍内分布を比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
TelomeScan/F35の作成に遺伝子組み換え実験の試行錯誤は必要と考えていたが、共同研究にて比較的順調にウイルスが完成したため、次年度繰り越しの研究費が発生した。 次年度は主にin vivo実験を行うため、大量のマウス購入に繰り越した研究費を充てる予定である。
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Research Products
(7 results)