2013 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞由来間葉系細胞による心臓外科領域の全身炎症反応制御法の開発
Project/Area Number |
25293296
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸井 晃 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60402856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 隆造 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20325781)
山原 研一 独立行政法人国立循環器病研究センター, その他部局等, その他 (50450888)
恒吉 裕史 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (40645412)
升本 英利 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70645754)
曽根 正勝 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40437207)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 間葉系幹細胞 / 抗炎症療法 |
Research Abstract |
間葉系幹細胞(MSC)が持つ免疫調節作用を利用した、心血管領域における虚血再灌流障害や全身性炎症反応に対する細胞治療開発を目指し、ES/iPS細胞由来MSCの樹立、骨髄・脂肪・胎児付属物・ES/iPS細胞由来MSCを用いた免疫抑制効果の相互評価および至適MSCの決定、MSCによる抗炎症・臓器保護効果のメカニズム解析、動物モデルを用いた前臨床研究を行うことが本研究の目的である。 これまでに我々が検討した実験結果およびヒトES細胞からのMSC分化誘導に関する既報を踏まえ、まずヒトES/iPS細胞からのMSC誘導に関して検証した。既報によれば、ヒトES細胞の未分化コロニーの辺縁のみを採取し、dishに接着させることで、中胚葉系への自然分化を促すという分化誘導手技が認知されている。我々はヒトES/iPS細胞(ES細胞株:H9およびKhES1、iPS細胞株;TIG107および201B7)の双方を用いて以下のMSC誘導を試みた。 ①未分化コロニーを剥がした後、(a)single cellに分割してから細胞培養用dishに接着させる、(b)コロニーをある程度の塊のまま細胞培養用dishに接着させる、(c)胚葉体形成の後に浮遊培養させる、さらに培養メディウム、分化誘導日数を変えることでMSCが誘導できるかどうかを検討した。 ②GSK3β阻害剤BIOは未分化細胞を中胚葉系へと分化させることが知られているため、BIOを用いた誘導によってMSCが選択的に誘導できるかを確認した。 MSC誘導の確認としては、フローサイトメトリーにて細胞表面マーカーCD73およびCD105の発現検討を行った。結果、これまでに誘導効率の高いES細胞株H9およびiPS細胞株201B7由来のMSCをストックすることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては、まずES/iPS細胞由来MSCを容易に移植に必要な細胞数を確保できることが不可欠である。しかしながら、GSK3β阻害剤BIOを用いたMSC誘導法(上記②)では、ある程度のCD73陽性細胞を得ることは出来たが、フローサイトメトリーにて分離採取した後の増殖能が悪かったため移植実験には不適と考えられた。また、未分化コロニーの辺縁のみを採取し、dishに接着させるMSC誘導法(上記①)は、mesenchymal方向に強制的に誘導しているのではなく、自然発生的に分化させているため、実験のrunおよび細胞株によって誘導効率が異なるという問題点がある。ES/iPS細胞からMSCを誘導する手段を確立することはできたが、移植時に必要十分量のMSCが投与できるかどうか、今度さらなる検討が必要である。 さらに今後、ヒト骨髄、脂肪、卵膜、ES/iPS細胞から樹立したMSCについて網羅的解析を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ES/iPS細胞からのMSC誘導について、フローサイトメトリーだけではなく、これまでに使用したMSCとのcharacterの差異の有無につき、遺伝子発現プロファイルを検討することが必要と考えられるが、我々は既に、ヒトES/iPS細胞由来血管細胞を用いた動物移植モデルへの移植実験において、ES/iPS細胞由来血管細胞のほうが(HUVECや他セルライン血管細胞と比較して)より高い生着率を示したという結果を得ており、ある程度immatureな段階の細胞を移植することでin vivoでの分化促進、結果としての移植効率の上昇が期待できる可能性を考えている。一方で未分化ES/iPS細胞の残存は、移植において腫瘍形成に繋がりうる。このため、今後、MSC誘導のどの段階のものを移植に使うか、及び未分化細胞を完全に除去できているかどうか、という二点につき、更に検討を行う。 それと並行して小動物への移植実験を開始する。ラット人工心肺モデルに対するMSC移植が、全身炎症反応や全身浮腫の軽減につながるかを評価する。各種臓器に対する虚血再灌流モデルを作成し、MSC移植による炎症抑制、機能保護効果を評価する。また、全身投与におけるMSCの作用部位を特定し、最も効果的な投与法も導き出す。MRSA敗血症モデルにおけるMSC移植は、すでに報告されているエンドトキシン血症モデルと同様のメカニズムで炎症を抑制することが可能かを評価する。急性大動脈解離モデルにおけるMSC移植は、高サイトカイン血症に伴う急性肺障害を抑制しうるかを評価する。これら各種モデルを用い、骨髄、脂肪、卵膜、ES/iPS細胞由来のうち、最も抑制効果の高いMSCを検討する。小動物モデルでの効果が得られれば中・大動物モデルでの移植を行い、同種他家移植に対する安全性の評価も行いたいと考えている。
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[Journal Article] Human Induced Pluripotent Stem Cells Differentiated into Chondrogenic Lineage Via Generation of Mesenchymal Progenitor Cells2013
Author(s)
Koyama N, Miura M, Nakao K, Kondo E, Fujii T, Taura D, Kanamoto N, Sone M, Yasoda A, Arai H, Bessyo K, Nakao K
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Journal Title
Stem Cells and Development
Volume: 22
Pages: 102-113
DOI
Peer Reviewed
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