2015 Fiscal Year Annual Research Report
Muse細胞をベクターとする悪性グリオーマの自殺遺伝子治療
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25293306
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
難波 宏樹 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60198405)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 慎士 浜松医科大学, 医学部, 特任研究員 (70464138)
徳山 勤 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (90313957)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遺伝子治療 / 悪性グリオーマ / 多能性幹細胞 / ガンシクロビル / チミジンキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
連携研究者の出澤らの研究室で作成されているHSVtk 遺伝子およびGFP マーカー遺伝子を導入したヒトMuse 細胞(Muse-TK細胞)を用いて実験を進めている。これまでin vitroおよびin vivoのバイスタンダー効果を検証し、先行研究として行っているHSVtk 遺伝子導入ラット神経幹細胞を用いた結果とほぼ同等の1/8から1/16ぐらいの幹細胞で十分な殺腫瘍効果が認められることがわかった。 昨年度は既存の脳腫瘍に対し、腫瘍内にMuse-TK細胞を打ち込んだ後にガンシクロビル(GCV)を全身投与し、その結果生じるバイスタンダー効果によって腫瘍細胞を縮小させる「脳腫瘍治療モデル」における検証を行った。腫瘍細胞は蛍光遺伝子が導入されているU87ヒト脳腫瘍細胞を用い、経皮的に蛍光を観察することにより動物を殺すことなく経時的に評価した。既存の脳腫瘍に対してもバイスタンダー効果を介した有意な腫瘍縮小作用と担癌動物の生存機関の延長が観察された。 脳腫瘍が発見された後に治療するという臨床と同様の実験でも良好な結果が得られ、現在臨床プロトコールの作成準備をしている。臨床応用の際には特にその安全性が重視されるので、バイスタンダー効果を介した治療後の正常脳の変化や、GCV投与後にMuse-TK細胞が存在するか否かなどの検証を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも記したように予定通り既存の脳腫瘍を治療するモデルが完成し、効果も観察された。
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Strategy for Future Research Activity |
悪性グリオーマは極めて予後不良の疾患で、最も悪性のグリオブラストーマでは診断からの生命予後は1年から1年半である。広範囲に切除できない脳という臓器の特殊性、血液脳関門の存在などによる抗がん剤効果の限界、そして腫瘍が浸潤性に脳深部に広がる性質を持つことが予後不良の理由と考えられる。今回の治療モデルで効果が認められたことから、臨床応用に向けての治療プロトコールの作成に取り掛かる予定である。
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Causes of Carryover |
26年度までの脳腫瘍治療モデルの研究は順調に進行したが、27年度に計画していた臨床応用前の治療細胞の安全性試験において、治療細胞の完全な消失を証明する分析方法に問題が生じた。連携研究者らとの検討の結果、分析方法を変更したため、一時的に研究の遂行が遅延し、未使用額が生じた。現在新たな分析方法に着手している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
GCV投与によりMuse-TK細胞が完全に消失するかどうかを遺伝子解析により証明する。
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