2015 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析による五十肩の病態解明と新規治療・診断法の開発
Project/Area Number |
25293315
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
萩原 嘉廣 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90436139)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西條 芳文 東北大学, 医工学研究科, 教授 (00292277)
森 大 慶應義塾大学, 先端生命科学研究所, 助教 (00588981)
土谷 昌広 東北大学, 歯学研究科(研究院), 非常勤講師 (60372322)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 凍結肩 / 関節可動域 / 関節包 / プロテオーム解析 / 鏡視下手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は患者からのサンプル採取を精力的に行い、臨床所見(関節可動域、関節造影MRI、アンケート調査)との関連および弾性線維形成に関わる遺伝子・タンパク解析を行った。H26年度から継続している網羅的なタンパク解析についても解析中で、次年度には終了する予定である。いかなる治療法でも改善が得られなかった内旋可動域について、烏口上腕靭帯が主要因であることを鏡視下手術で確認した。凍結肩ではプロテオグリカンが増加し、elastin, fibulin-1,5, fibullin-2の低下していることから、弾性線維の合成阻害が起こることによって組織の弾性が低下(硬化)が起こっているものと考えられた。また、vimentinが凍結肩で増加しており、関節包の硬化に影響しているものと考えられた。医工学研究科で開発された超音波顕微鏡でも凍結肩で有意に音速が上昇(硬化)していることが確認できた(投稿中)。関節可動域の詳細な検討によって、凍結肩では腱板断裂(コントロール)と比較して患側の関節可動域は減少しているが、健側はむしろ制限が少なく、両者の病態の違いが明らかとなった。つまり腱板断裂は健側でも関節可動域制限が起こっている可能性が高い。腱板断裂を関節可動域制限の程度によって分類すると、プロテオグリカン、弾性線維の遺伝子発現と関節可動域に相関が認められた。関節造影MRIの所見と遺伝子・タンパク発現の関連も検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メインの解析である網羅的なタンパク解析に十分なサンプルを採取し、計測を終了した。現在はその計測結果の分析を行っている。研究を継続する中で、関節可動域、MRI画像と関節包の性状との関連を見出し、あらたな治療法選択の基準を作成できる可能性がある。術中診断装置についてはプローブの故障もあり実現できていない。しかし、各可動域の責任病巣部位を同定しつつあるので、実現できれば分子生物学、臨床所見、画像との関連が一気に解析可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
解析中の網羅的なタンパク解析の結果をもとに、さらに遺伝子発現の詳細な検討を行う。臨床所見、画像所見との関連も解析し、論文化を行う。術中診断装置の修理が完了すれば、術中所見との関連も解析する。
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