2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25293328
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上村 裕一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30211189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 麻衣子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (20516637)
桑木 共之 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80205260)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 防御反応 / オレキシン / 周術期管理 / 遺伝子改変マウス / 体温調節 / ストレス / 循環調節 / 呼吸調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
麻酔中の生体防御反応に於ける体温・呼吸・循環・疼痛が、種々のストレスホルモンによって受ける修飾を解明し、その知見を術前コントロールや周術期早期の予防的治療に適用して適正な麻酔管理に役立てる事が本研究の目的である。平成25年度に実施した臨床研究ではperfusion indexが術後シバリング出現の指標になることが示されたが、同時に計測した血中ストレスホルモンの測定値からはシバリング中のカテコラミン放出に加え、シバリング発症群では術前・術中のオレキシン低値が示唆された。そこで、平成25~26年度にはオレキシンがシバリングを含む体温調節と睡眠中の呼吸調節に果たす役割を更に詳しく解明する為に以下の動物実験を行った。①オレキシンニューロン特異的破壊マウスの麻酔感受性を調べたところ、麻酔からの覚醒時間が延長していることが判明したが、これはオレキシン欠損による低体温の影響によるものであって、体温を適切に管理してやれば覚醒時間の延長は消失することが判明した。②脳内発熱物質であるプロスタグランジンE2の投与や低温暴露ストレスによる体温上昇にはオレキシンニューロンの活動が必要であることを発見した。③睡眠時無呼吸を模した間欠的低酸素暴露によってオレキシンニューロンが活性化されたが、持続的低酸素暴露では活性化されなかった。すなわち睡眠中に何らかの原因で無呼吸が生じた際の呼吸維持にもオレキシンが貢献していることが示唆された。以上を総合すると、オレキシンを欠損したナルコレプシー患者の麻酔には、循環・体温・呼吸の管理に特段の注意が必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験動物生体を対象にした研究なので個々の実験には時間がかかるものの、着実に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
麻酔薬の種類(入力の差)と観察する生体反応の種類(出力の差)との組合せには多くのバラエティーがあるので、一つ一つ着実な結果を積み上げて全体像の解明に繋げたい
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Causes of Carryover |
ほぼ計画どおりに使用できたが、旅費が、支出額と想定した金額との差額が生じ、次年度へ繰り越す事になった
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品の購入に使用予定である
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Research Products
(6 results)