2015 Fiscal Year Annual Research Report
内リンパ水腫形成への抗利尿ホルモンとアクアポリンの関与に関する研究
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25293346
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柿木 章伸 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60243820)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 耳鼻咽喉科 / 耳科学 / メニエール病 / 内リンパ水腫 / 抗利尿ホルモン / 水チャネル / OCT |
Outline of Annual Research Achievements |
メニエール病の病理組織学的特徴は内リンパ水腫である。この内リンパ水腫形成に抗利尿ホルモン(VP)と水チャネル(AQP)が関与していることを臨床および基礎研究において報告してきた。 前年度はモルモットを使用し、側頭骨組織標本をoptical coherence tomography(OCT)用いて観察することにより、抗利尿ホルモンの内リンパ水腫形成への関与を明らかにした。 今年度は、生体モルモットの蝸牛をOCTを用いて観察することを試みた。 方法は、全身麻酔下にモルモットの中耳骨胞を開放し蝸牛を露出させ、蝸牛頂回転を以下の条件下でOCTにて観察する。観察条件は、無処置、鼓室内デスモプレシン(抗利尿ホルモンV2作動薬)投与、実験的内リンパ水腫動物(内リンパ嚢閉塞モルモット)の鼓室内イソソルビド(メニエール病治療薬として用いられている浸透圧利尿薬)とした。結果は、正常動物の蝸牛頂回転の内部構造としては、側壁、基底板、ライスネル膜が観察でき、内リンパ水腫の有無が判定できる。鼓室内にデスモプレシンを投与した場合、2時間で内リンパ水腫の形成が完成した。鼓室内にイソソルビドを注入した場合、数分で内リンパ水腫の軽減が認められた。 これらの結果から、OCTは蝸牛骨壁が比較的薄い頂回転であれば、内リンパ水腫の有無の判定が可能な程度の蝸牛内部構造の観察ができることが判明した。鼓室内にデスモプレシンを投与することで内リンパ水腫が形成されたことから、内リンパ水腫の形成にVPとAQPが関与していることを支持する結果である。今回イソソルビドは鼓室内に投与しており、通常の投与方法(経口投与)とは異なるが、内リンパ水腫軽減作用が認められた。このことは、イソソルビドの新たな使用方法の可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モルモットにおける蝸牛血管条のアクアポリン2の発現に関する研究では、蛍光抗体法を用いて実験を重ねているが、自家蛍光を消すことが依然できていない。この点が予定よりも遅れている。 OCTを用いて蝸牛内部構造の変化を観察する研究は予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
モルモットにおける蝸牛血管条のアクアポリン2の発現に関する研究では、蛍光抗体法をウエスタンブロッティング法に変更して研究を開始しており、これを推進していく。 OCT研究に関しては、データの蓄積を行う予定である。
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Causes of Carryover |
効率かつ効果的に執行したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品等の物品に使用する予定。
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Research Products
(5 results)