2013 Fiscal Year Annual Research Report
SJS/TENの発症機序解明および発症予測に向けた国際的研究
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25293355
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
外園 千恵 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30216585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 茂 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30116024)
上田 真由美 同志社大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60398386)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Stevens-Johnson症候群 / 国際共同研究 / 眼合併症 |
Research Abstract |
本研究の目的は、SJS/TENによる重篤な視力障害の回避を目的として、眼障害を合併したSJS/TEN患者を対象に東アジア人向けAxiomを用いた全ゲノム関連解析および次世代シーケンサーを用いたエキソーム解析を実施し、発症に関与する遺伝子を明らかにすることである。当該年度は、発症に関与する遺伝的素因の全ゲノム解析を主に行った。重篤な眼合併症を伴うSJS/TEN患者を対象に東アジア人向けAxiom Genome-Wide Array Platesを用いて全ゲノム関連解析を実施した。その結果、P < 10-4を示しSNPsが約300見つかった。そのうちSJSとの強い関連を示すHLA-A*02:06を含むHLA領域に位置するSNPは約200SNPs見られた。HLA領域以外のSNPについて、タイピングによる確認をおこなったところ、HLA領域以外の約50SNPにおいてP < 10-4を示した。これらのSNPについて、韓国集団(ケース群:36検体、コントロール群:90検体)による検証を行いメタ解析をしたところ、遺伝子Xにおいてp<10-8を示す有意な関連が示された。また、手術時に患者より得られた組織の免疫染色では、自然免疫と関連するTLR5の発現がSJS/TEN患者の眼表面組織で上昇していることを明らかとした。 さらに眼表面におけるMRSAに関する検討については、ブラジルとの共同研究により、日本人でSJS/TEN患者ではMRSA/MRSEの保菌が多いのとは対照的に、ブラジルでは、薬剤耐性ではない黄色ブドウ球菌が検出されることが多いことも明らかとなった。 さらに、海外の眼障害患者を対象にした臨床研究については、韓国、ブラジル、インドとの共同研究を行い、原因薬剤や臨床所見を収集した。さらに、韓国や中国において培養口腔粘膜上皮シート移植や患者用新規ハードコンタクトレンズについての共同研究の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度において本研究の目的のうち、眼障害を合併したSJS/TEN患者を対象に東アジア人向けAxiomを用いた全ゲノム関連解析を予定通り終了しており研究内容については、おおむね順調に進行している。日本人において、SJS/TEN発症と強い関連を示す遺伝子多型を複数同定しただけではなく、韓国などの諸外国との共同研究により、他民族サンプルを合わせたメタ解析により有意に関連をしめる遺伝子多型を見るけることができている。また、眼表面における保菌解析についてもブラジルとの共同研究を行えており、培養口腔粘膜上皮シート移植や患者用新規ハードコンタクトレンズについての共同研究も、韓国や中国で展開する準備が進んでおり、国際展開という点でもおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の発症に関与する遺伝的素因の全ゲノム解析はおおむね順調に進んでいる。今後は、これらの結果を論文化するとともに、東京大学医学研究科徳永研との共同研究により、次世代シーケンサーを用いたエキソーム解析の準備ならびに解析を進めていく。 また、国際共同研究の元、他民族サンプルを用いたHLA解析を行う。眼合併症を伴う日本人SJSでは、HLA-A*0206と強く相関することがわかっている。同じアジア民族で一番近い韓国民族においては、同じHLA-A*0206との強い相関が予想される。しかし、同じアジア民族でも白人に近いインド民族では、異なるHLA多型が見つかる可能性もあり、疾患発症機序の解明に大きく貢献する可能性が高い。 さらに、ブラジルとの共同研究のもと、患者組織解析の解析、また、韓国・中国との共同研究のもと培養口腔粘膜上皮シート移植の普及や患者用新規ハードコンタクトレンズの普及を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度の研究は順調に進んでいるものの、研究消耗品費が予定より低く抑えることができた。そのため次年度以降に計画している他民族サンプルによるHLA解析や国際共同研究に用いるための研究資金が準備できた 次年度に使用できるようになった当該年度の研究費は、他民族サンプルを用いたHLA解析ならびに、国際共同研究により行う患者組織サンプルを用いた病態解析に使用する。 特に他民族サンプルを用いた解析については、当初予定していた韓国やブラジルだけではなくインドや台湾のサンプルも国際共同研究により収集が可能となっており、また、各民族毎のコントロールの解析も必要であるために、当初の予定より多くの研究費が必要になると想定される。当該年度で抑えらえた研究消耗品費を次年度に使用することでこれらの解析に必要な研究消耗品が賄えると考えられる。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] Independent strong association of HLA-A*02:06 and HLA-B*44:03 with cold medicine-related Stevens-Johnson syndrome with severe mucosal involvement.2014
Author(s)
Ueta M, Kaniwa N, Sotozono C, Tokunaga K, Saito Y, Sawai H, Miyadera H, Sugiyama E, Maekawa K, Nakamura R, Nagato M, Aihara M, Matsunaga K, Takahashi Y, Furuya H, Muramatsu M, Ikezawa Z, Kinoshita S.
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 4
Pages: 4862
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Specific HLA types are associated with antiepileptic drug-induced Stevens-Johnson syndrome and toxic epidermal necrolysis in Japanese subjects.2013
Author(s)
Kaniwa N, Sugiyama E, Saito Y, Kurose K, Maekawa K, Hasegawa R, Furuya H, Ikeda H, Takahashi Y, Muramatsu M, Tohkin M, Ozeki T, Mushiroda T, Kubo M, Kamatani N, Abe M, Yagami A, Ueta M, Sotozono C, Kinoshita S, Ikezawa Z, Matsunaga K, Aihara M.
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Journal Title
Pharmacogenomics.
Volume: 14
Pages: 1821-31
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Visual Improvement after Cultivated Oral Mucosal Epithelial Transplantation.2013
Author(s)
Sotozono C, Inatomi T, Nakamura T, Koizumi N, Yokoi N, Ueta M, Matsuyama K, Miyakoda K, Kaneda H, Fukushima M, Kinoshita S
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Journal Title
Ophthalmology.
Volume: 120
Pages: 193-200
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Medication tendencies for inducing severe ocular surface symptoms in Japanese Stevens-Johnson syndrome / toxic epidermal necrolysis patients.2014
Author(s)
Nahoko Kaniwa, Mayumi Ueta, Ryosuke Nakamura, Emiko Sugiyama, Keiko Maekawa, Yukitoshi Takahashi, Hirokazu Furuya, Akiko Yagami, Setsuko Matsukura, Zenro Ikezawa, Kayoko Matsunaga, Chie Sotozono, Michiko Aihara, Shigeru Kinoshita, Yoshiro Saito.
Organizer
The 6th International Drug Hypersensitivity Meeting
Place of Presentation
Bern, Switzerland
Year and Date
20140411-20140411
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[Presentation] HLA association with antipyretic analgesics-induced Stevens-Johnson syndrome / toxic epidermal necrolysis with severe ocular surface complications in Japanese patients.2014
Author(s)
Ryosuke Nakamura, Nahoko Kaniwa, Mayumi Ueta, Chie Sotozono, Emiko Sugiyama, Keiko Maekawa, Akiko Yagami, Setsuko Matsukura, Zenro Ikezawa, Kayoko Matsunaga, Tokunaga Katsushi, Michiko Aihara, Shigeru Kinoshita, Yoshiro Saito.
Organizer
The 6th International Drug Hypersensitivity Meeting
Place of Presentation
Bern, Switzerland
Year and Date
20140410-20140410
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[Presentation] Etiologic Features Of Stevens-Johnson Syndrome And Toxic Epidermal Necrolysis With Ocular Involvement.2013
Author(s)
Sotozono C, Kinoshita S, Kitami A, Iijima M, Aihara M, Ikezawa Z, Kano Y, Shiohara T, Shirakata Y, Hashimoto K.
Organizer
8th International Cutaneous ADR Congress
Place of Presentation
Tao-Yuan, Taiwan
Year and Date
20131116-20131117
Invited
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