2014 Fiscal Year Annual Research Report
小児肝がん国際共同臨床試験に向けた新たな治療戦略のための分子基盤の構築
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25293359
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
小倉 薫 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (10346653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜山 英三 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (00218744)
鬼武 美幸 広島大学, 大学病院, 病院助教 (10448269)
栗原 將 広島大学, 大学病院, 医科診療医 (40724894)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小児 / 癌 / トランスレーショナルリサーチ / 薬剤反応性 / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年同様、JPLT-2及び当科で、全国統一の治療プロトコール(JPLT-1 及び-2)で治療され、予後が判明し、さらに腫瘍が保存されている約200例の腫瘍や核酸をと、肝芽腫細胞株としてHepG2 とJPLTで樹立したJPHB-1,2,3を用いた。 腫瘍および正常DNAを用いてSNPアレイで検出した染色体で高頻度ににLOHが認められる部位として。1q, 2q欠失/増加が認められた。両親のSNPsを検索し、欠失しているアレルの親由来を検討したところ、父方の欠失であった。また、網羅的遺伝子発現を既存全ゲノム型のアレイに検索し、ゲノム異常のある部位や、予後不良例(肝内再発例、遠隔転移例)で有意に発現が変動している遺伝子を12個抽出し、既存の蛍光リアルタイムPCR法で検証し、3つ遺伝子で有意差認め、これらは高リスク群で有意に高値であった。さらに、β―カテニン異常およびテロメラーゼ高活性やTERTの高発現腫瘍でのパスウェイ検討から、Wntシグナル、MAPKシグナル系の活性化と悪性度の関連が示された。次世代シークエンス解析にて遺伝子発現解析を行ったところ、マイクロアレイで検出された遺伝子とWntシグナル、MAPKシグナル系の活性化が確認された。標準リスク群・中間リスク群の解析では、Wntシグナルが共の活性化していたが、さらに、これらに加えてムチン関連遺伝子の活性化が中間リスクで認められた。高リスク群、中間リスク群で活性化している遺伝子siRNAを作成し、肝芽腫細胞株(HepG2、並びにJPHB1,2,3)に導入し、その効果を判定したところ、HepGe2とJPHB2,3でそれぞれ濃度依存性に増殖が抑制され、細胞増殖にかかわる遺伝子候補であると考えられた。そこで、これらの細胞でセロミクス(一細胞プロテオミクス)を行い、細胞内代謝産物の変動を検討して効果判定マーカーの検索を開始した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小児肝腫瘍のうち、予定していた臨床検体約200検体と細胞株の解析を3年間で行う研究であり、二年目は予後調査の終了している臨床検体とともに欠失あるいはLOHになているアレルの親由来を解析した。また、悪性度と関連している遺伝子群をリスク別に抽出して、それらの遺伝子のsiRNAを作成し、増殖抑制効果を見出した。さらにこれらの細胞セルテスティングまでは至っており、肝芽腫の悪性度を規定している分子標的遺伝子候補が見いだされてつつあり、本年度の本研究の達成目標はほぼ達成できていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に解析した結果に加えて分子標的となる遺伝子の詳細な機能と共のこれらの抑制による細胞株の増殖抑制効果、さらにこれに伴う細胞内代謝変動をセルテスティングで検討し、効果判定マーカーを見出す。一方、網羅的遺伝子変化の検索とともに、ホモとなっている部位での欠失領域とともに欠失アレルの由来の検討を継続し、肝芽腫発生と進展に関わっているインプリンティング遺伝子の同定する。これらを総合的に解析し、Wntシグナル異常、テロメラーゼとネットワーク解析とともに、遺伝子変異、欠失、さらにmiRNA発現解析を行い、リスク判定に寄与する確実な因子の同定を行い、セルテスティング、アニマルテスティングを通じて、目的とする分子標的を確定し、臨床応用に向けて検討しうる前臨床研究データとする方針である。
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Causes of Carryover |
平成25年度に引き続き、小児肝癌の患者に加えて、同意を得て採取した両親の検体について平成26年度に開始した。しかし、広島大学での研究はほぼ計画どおりに進行しが、研究代表者の移動にともない、その研究体制が不十分であったため、平成26年の予定の検討が浜松医科大学で進まず、一部予定の研究を平成27年度に延期したため、研究費を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成25年度に対象とした検体に加えて、インフォームドコンセントを得ている両親のDNA30組について平成26年度に引き続き対象とする。 1.網羅的遺伝子変化の検索:Gene Chip (SNPs解析用アレイ)でのゲノム解析にて共通欠失領域を同定し、欠失しているアレルの親由来を検討する。2.網羅的遺伝子発現の検索:全ゲノム型のアレイ(Affymetrix)にてインプリンティングも含めて、遺伝子発現変化の機序、ネットワーク解析を行う。3.Wntシグナル異常、テロメラーゼとネットワーク解析から、この腫瘍の新たな分子標的候補を抽出する。4.次世代シークエンス解析変異や欠失、メチル化を解析する。さらに、miRNA発現もこのツールで解析を追加する。選別された分子標的を選別し、in vitro投与実験をにて細胞内代謝産物の変動を検討して効果判定する 以上の結果を統合し生物学的因子を含めた各リスク群における新たな臨床試験プロトコールを提案する。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Towards an international pediatric liver tumor consensus classification: proceedings of the Los Angeles COG liver tumors symposium2014
Author(s)
Lopez-Terrada D, Alaggio R, de Davila MT, Czauderna P, Hiyama E, Katzenstein H, Leuschner I, Malogolowkin M, Meyers R, Ranganathan S, Tanaka Y, Tomlinson G, Fabre M, Zimmermann A, Finegold MJ; Children's Oncology Group Liver Tumor Committee
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Journal Title
Modern Pathology
Volume: 27
Pages: 472-491
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Outcome and morbidity of primary resection of hepatoblastoma in JPLT-1 and 2 protocols2014
Author(s)
Hiyama E, Hishiki T, Watanabe K, Ida K, Yano M, Oue T, Iehara T, Hoshino K, Koh K, Tanaka Y, Kurihara S
Organizer
SIOP2014
Place of Presentation
Toronto, Canada
Year and Date
2014-10-22 – 2014-10-25
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