2014 Fiscal Year Annual Research Report
カテコラミンによる腸管免疫機構の修飾:腸内細菌叢への効果と機序の解明
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25293367
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森崎 浩 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60182226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 武志 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80327600)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カテコラミン / 敗血症 / 腸内細菌 / 腸管免疫機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の研究では、「敗血症患者をはじめとする急性期重症患者で過剰に分泌されている内因性カテコラミンが直接あるいは間接的に、生体免疫機構の根幹をなす腸管免疫機構及び腸内細菌叢を修飾する」との仮説を基に、その機序とカテコラミン受容体遮断薬による腸内細菌叢と腸管免疫機構への保護効果を検討してきた。平成26年度は前年度に引き続き敗血症において高頻度に検出されるグラム陰性桿菌である大腸菌・緑膿菌・肺炎桿菌・エンテロバクターとグラム陽性球菌である黄色ブドウ球菌・表皮ブドウ球菌に関して臨床検体由来の菌株を用いて、カテコラミン添加による細菌増殖能・走化能への影響を検討してきた。大腸菌・表皮ブドウ球菌においてはノルエピネフリンによる増殖能の亢進傾向を認めているが、用いたノルエピネフリンが実際に腸管内腔に存在するとされている濃度と比して高濃度であることも見出した。 また、腸管上皮中のCD4+リンパ球に対してのカテコラミン刺激に対する影響を探索する実験系においては昨年度に施工したサイトカイン分泌の評価に加え、リンパ球サブセット分化への影響を検討した。マウスより抽出できる腸管上皮内リンパ球が比較的少量であることに加え、培養によりリンパ球が細胞死に至る割合が多く、より適切な培養法の確立を目指し、より詳細に検討中である。同時にカテコラミン刺激による腸管内生理的抗菌物質の分泌能への影響を小腸ならびに大腸から単離したパネート細胞を含む小嚢腺を用いて検討した。まずはmRNAレベルでの抗菌物質(リポカリン2、ディフェンシン)を定量的に測定した結果、内毒素との共培養によりリポカリン2が増幅することを見出した。同じ系においてカテコラミン添加による影響を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3ヶ年計画で最終的に生体内実験系におけるカテコラミン遮断薬による保護効果を探索する予定であるが、2年目までにカテコラミンと腸内細菌叢及び腸管免疫機構との関連を探索する生体外実験系において様々な切り口から実験を進めていくことができているため全体としては概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である今年度は現在進行中である「カテコラミン刺激による腸管免疫機構への影響」をリンパ球・小嚢腺に焦点をあて計画書の通り計画を進める。特に、小嚢腺へのカテコラミンの影響に関しては現在行っているmRNAレベルでの検討から蛋白レベルまで探索していくと共に、リンパ球・小嚢腺に対するカテコラミンのアポトーシス誘導効果についても並行して実験を進める予定である。これらの生体外実験系での結果を基に、カテコラミン遮断薬の効果を生体内実験系で検討していく予定である。倫理申請や動物実験計画書など事務的に必要な諸手続きは全て済んでおり、研究の遂行に支障はない。
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Causes of Carryover |
平成26年度の予算計画において物品費はほぼ当初の予定額を消費した。旅費500,000円、人件費・謝金300,000円を計上していたものの、実際には用いなかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越額は平成27年度分として請求した研究費と合わせて、主に物品費(消耗品費)として合算して使用する予定である。生体外実験系においては主に細菌培養・保存用試薬及び培養消耗品、real time PCR関連試薬、フロサイトメトリー・ELISA関連試薬等の購入行う予定である。また、今年度は生体内実験を行う予定であるため動物購入の費用を物品費に含む予定である。
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