2014 Fiscal Year Annual Research Report
細菌の新しい病原タンパク質分泌システムの超分子構造とメカニズム
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25293375
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中山 浩次 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (80150473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 勝巳 大阪大学, 理学研究科, 教授 (40346143)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯周病 / 蛋白質分泌 / 細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
9型分泌機構(T9SS)について以下の研究を行った。 (1)PorVはPorU遺伝子と並んでゲノム上に存在し、PorUとのinteractionが報告されているが、どのようにT9SSの分泌過程で関わっているかについては不明である。そこでPorVに対する抗体を調製し、P. gingivalis菌体内でPorVと結合するタンパク質を免疫共沈降法で調べた。PorUのほかにCTDタンパク質と思われる複数のタンパク質がみつかった。そこでそれぞれのCTDタンパク質のCTD領域のみをHaloタグと結合させた組換え遺伝子を作製し、P. gingivalis内で発現させ、PorVとの結合性を調べた。その結果、複数のCTDにおいてPorVと結合することがわかった。 (2)CTDタンパク質の解析を進めていくなかで、あるCTDタンパク質の遺伝子を欠損させると血液寒天培地上での集落が黒色化しないことがわかった。黒色化はジンジパインの産生・局在化に深く関わる現象であることからジンジパインの局在を調べたところ、菌体表面には留まらず、培養上清中で放出されていることがわかった。このような性質はCTDタンパク質を菌体表面に係留するA-LPSの形成と関わることからA-LPSを認識するモノクローナル抗体1B5の反応性を調べたところ、この欠損株は1B5反応性があることがわかった。すなわち、従来のPorT型やPorR型の変異株の性状とは異なる変異株であることが示唆された。この種の変異株およびその責任遺伝子がコードするタンパク質の解析はどのようにCTDタンパク質がA-LPSに係留されるのかについての知見を与えるものと予想される。 (3)歯周病細菌の1つであるTannerella forsythiaのS-layerの構成タンパク質がT9SSのよって分泌されることがわかった
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PorVはCTDタンパク質のCTD領域を認識することでT9SSの分泌過程で貢献していることがわかった。さらにCTDタンパク質を菌体表面に係留する機構についての知見を与えると思われる変異株が分離された。また、歯周病細菌の1つであるTannerella forsythiaにもT9SSが機能しており、病原性に関与するS-layerの形成に寄与していることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進行しており、当初の研究計画を変更せず、実施する。
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Causes of Carryover |
消耗品を節約して購入したため、僅かに(66,288円)残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の物品費に繰り込んで使用する。
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Research Products
(4 results)