2013 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティックスを軸とした骨・軟骨再生医療開発への分子基盤の確立
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25293401
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
波多 賢二 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (80444496)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / 骨芽細胞 / 軟骨細胞 |
Research Abstract |
平成25年度は骨芽細胞分化および軟骨細胞分化に関与するエピジェネティック因子探索のためのクローニングシステムの確立と遺伝子クローニングを行った。骨芽細胞および軟骨細胞への分化能を有する未分化間葉系細胞株C3H10T1/2細胞、ならびにC3H10T1/2細胞と同じ間葉系細胞であるが骨芽細胞および軟骨細胞へと分化しない線維芽細胞株NIH3T3細胞を用いて遺伝子発現プロファイリングを行った。その結果、C3H10T1/2細胞に高発現する転写因子、すなわち骨芽細胞および軟骨細胞分化に関与する遺伝子を複数見出した。また、軟骨細胞のみを改変型緑色蛍光たんぱく質Venusでラベルした軟骨細胞のレポーターマウスを作製し、FACSを用いた軟骨細胞の分離と遺伝子発現解析を行った。さらに、C3H10T1/2細胞にアデノウィルスシステムを用いて軟骨細胞分化に必須の転写因子Sox5,Sox6およびSox9を過剰発現させ、軟骨細胞分化に伴って発現誘導される遺伝子の網羅的解析を行った。これら3つの遺伝子クローニング法により、軟骨細胞分化に関与すると推測される候補遺伝子を複数クローニングした。これら候補遺伝子の中から、コントロールに比較して軟骨細胞において発現の倍率が高かった遺伝子群から順番に上位10個を選出した。さらに、軟骨組織における遺伝子発現の特異性を、リアルタイムPCR、免疫染色およびIn Situハイブリダイゼーション法により検討を行った結果、軟骨細胞に高発現する転写因子およびエピゲノム因子を同定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は骨芽細胞および軟骨細胞分化に関与するエピジェネティック因子ならびに転写因子を同定するためのクローニングシステムの開発を目標に研究を行った。その結果、(1)骨芽細胞および軟骨細胞への分化能の異なる間葉系細胞株を用いた遺伝子クローニング法、(2)軟骨細胞のみを蛍光たんぱく質でラベリングしたマウス個体サンプルを用いた遺伝子クローニング法、そして(3)C3H10T1/2細胞に軟骨細胞分化に必須の転写因子の組合せを遺伝子導入し軟骨細胞分化に伴って実際に発現誘導される遺伝子クローニング法の3つの遺伝子クローニングを行うことに成功した。さらに、リアルタイムPCR、免疫染色およびIn Situハイブリダイゼーション法により生体内軟骨組織における遺伝子発現の検討と候補遺伝子の絞り込みをを行った結果、クローニングされた膨大な数の候補遺伝子のなかから、軟骨細胞に高発現する転写因子およびエピゲノム因子を同定することに成功した。これらの結果は、複数の遺伝子クローニング法による多角的アプローチによる遺伝子発現解析が可能になったことを示しており、本研究結果の信頼性は高いと推察される。 以上の結果より、本研究は現在までおおむね順調に進展していると推察される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はクローニングされた遺伝子の骨形成および軟骨形成に対する効果について検討を進めていく。すなわり、骨芽細胞および軟骨細胞へと分化可能なC3H10T1/2細胞株、軟骨細胞様細胞株(ATDC5細胞)、新生児マウス頭蓋骨より採取した初代培養骨芽細胞、肋軟骨より採取した初代培養軟骨細胞を用いて、新規因子の骨芽細胞分化および軟骨細胞分化への効果の検討を多角的に進める。具体的にはアデノウィルスにより候補遺伝子の野生型およびドミナントネガティブ変異体を過剰発現させる、またはRNAiを用いて遺伝子をノックダウンし、骨芽細胞分化ならびに軟骨細胞分化マーカーの発現をリアルタイムPCR法により解析する。そして、遺伝子欠損マウスならびにトランスジェニックマウスを用いた解析により、In Vivoにおけるエピジェネティック因子および転写因子の役割の解析を行う予定である。 クローニングされた因子の軟骨組織再生への効果をさらに明らかにするために、軟骨欠損動物実験モデルを利用して、軟骨組織再生への関与を検討する。すなわち、ヌードラットの関節包を開けて関節軟骨に直径1mmの穴を、クローニングされたエピジェネティック因子を過剰発現またはノックダウンした細胞ペレットを移植する。軟骨組織再生の効果は、HE染色病理組織切片、In Situ ハイブリダイゼーション(II型コラーゲン、アグリカンなど)およびリアルタイムPCR法により検討する。骨形成に対する役割は、頭蓋骨を用いて同様に行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度はクローニングされた遺伝子の発現解析を中心に行った。In Situハイブリダイゼーションを行う際に複数のターゲットを認識するプローブを作製するが、いくつかの遺伝子は予定していたプローブの設計に成功したため、複数回の実験を行う必要がなくなった。そのため、In Situハイブリダイゼーション法の実験に必要な試薬または実験マウスの購入がなくなり9552円の次年度使用額が発生したと考えられる。 平成26年度は遺伝子の機能解析を行うため、リアルタイムPCRによる遺伝子発現の変動の検討が重要になる。リアルタイムPCR実験に用いる試薬としてマスターミックス反応液を用いるが、次年度繰越金からこれら試薬を購入する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Arid5b facilitates chondrogenesis by recruiting the histone demethylase Phf2 to Sox9-regulated genes.2013
Author(s)
Hata K, Takashima R, Amano K, Ono K, Nakanishi M, Yoshida M, Wakabayashi M, Matsuda A, Maeda Y, Suzuki Y, Sugano S, Whitson RH, Nishimura R, Yoneda T
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 4
Pages: 2850-2860
DOI
Peer Reviewed
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