2013 Fiscal Year Annual Research Report
NF-κBとCXCR4関連miRNAを標的とした口腔癌に対する複合的治療法の開発
Project/Area Number |
25293411
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宮本 洋二 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (20200214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 宏和 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50282190)
玉谷 哲也 徳島大学, 大学病院, 講師 (30274236)
内田 大亮 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (20335798)
大江 剛 徳島大学, 大学病院, 助教 (60432762)
高丸 菜都美 徳島大学, 大学病院, 助教 (40513031)
栗林 伸行 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80617332)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | miR-146a / NF-κB / CXCR4 / EGFR |
Research Abstract |
miR-146aは、癌細胞の増殖因子であるNF-κBの活性化や転移関連分子であるCXCR4の発現、さらには多くの癌の進展に関与している上皮成長因子受容体(EGFR)の発現をも制御する癌抑制型miRNAとされている。本研究ではmiR-146aを用いた口腔癌における複合的治療の可能性を探求した。 NF-κBの恒常的活性化とCXCR4の高発現、およびEGFRの発現を有する口腔癌細胞株B88と唾液腺癌細胞株ACC-MではmiR-146aの発現は、定量性PCRにていずれも低レベルであった。そこで、miR-146aの合成miRNAを10 nMの濃度でB88細胞に導入したところ、MTT assayにて著しい細胞死(95%以上)を認めた。この条件でCXCR4とEGFRの発現を定量性PCRにて検討したが、発現は低下するものの、細胞毒性に由来したmRNAの非特異的分解の可能性が考えられた。また、細胞遊走能に関しても同様で、遊走は顕著に低下するが細胞死の影響が大きすぎたため、細胞運動への直接的関与を明らかにすることができなかった。ただし、10 nMという導入濃度は一般的にそれほど高いわけではなく、miR-146aがこれらの口腔癌細胞株における癌抑制型miRNAである可能性が高いことは示唆された。 本年度は導入濃度を1 nMにすることで、miR-146aの標的分子であるCXCR4、NF-κB、EGFRの関連を明らかにし、機能的解析を進めていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は、B88, ACC-M以外の口腔癌細胞株(BHY、IH、CAL27、SAS、HSC-2、HSC-3)においてもmiR-146a、EGFR、CXCR4の発現とNF-κBの活性化を検討する予定であったが、実施できなかった。実施できた細胞においても、miR-146aの導入による細胞毒性が予想以上に強かったため、放射線感受性試験やレポータアッセイ等も行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のごとく、前年度はmiR-146の導入による細胞死の影響が強かったため、CXCR4やEGFRのmRNA発現やNF-kBのレポーターアッセイを含めた実験系では、導入濃度を1 nMに減量する実験系と、10 nMの導入後24時間以内に細胞を回収する実験系を考えている。また、24時間以上の長期の観察が必要なmigration assayや放射線感受性実験では、導入濃度を1nMに減量し、細胞毒性を軽減することを考えている。さらに、B88, ACC-M以外の口腔癌細胞株(BHY、IH、CAL27、SAS、HSC-2、HSC-3)においてもmiR-146a、EGFR、CXCR4の発現とNF-κBの活性化を検討する。これらの実験系でmiR-146aとNF-kB, CXCR4, EGFRとの関連が明らかにされれば、可能であれば動物実験を行えればと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
B88, ACC-M以外の口腔癌細胞株(BHY、IH、CAL27、SAS、HSC-2、HSC-3)におけるmiR-146a、EGFR、CXCR4の発現とNF-κBの活性化を検討できず、培養器材やPCR用試薬の消費が少なかった。また、miR-146aの導入による細胞毒性が予想以上に強かったため、放射線感受性試験やレポータアッセイ等も行うことができなかった。 miR-146a処理あるいは未処理の状態で、B88, ACC-Mを含めた口腔癌細胞株(BHY、IH、CAL27、SAS、HSC-2、HSC-3)におけるmiR-146a、EGFR、CXCR4の発現とNF-κBの活性化を検討することにより、培養器材やPCR用試薬に使用する予定である。さらに、miR-146aの導入濃度を下げた条件で、放射線感受性試験、レポータアッセイ、migration assay等を行う。
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