2013 Fiscal Year Annual Research Report
コラーゲンNANOモデル解析による骨改造の新たな機序の探索
Project/Area Number |
25293419
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
上岡 寛 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80253219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住吉 久美 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80625161)
亀尾 佳貴 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60611431)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | FIB-SEM / 骨 / 骨細胞 / コラーゲン |
Research Abstract |
骨の内部で3次元的に密な配向を形成するコラーゲンネットワークは、骨に十分な力学的な強度を与えるために必要であると考えられている。しかしながら、コラーゲンは微細な構造物であり、かつ、コラーゲンを産生する骨芽細胞と骨基質との閉ざされた空間にあるために観察が困難であり、ネットワーク形成機序は十分に解明されていなかった。そこで, 近年新たに開発された直交配置型FIB-SEM(物質・材料研究機構)を用い, 16日齢ニワトリ胚頭蓋骨を試料とし, 1辺25 μmの立方体領域を25 nm毎に連続して撮影し, 3次元再構築像を得た。これにより, 骨組織中の細胞性ネットワークとコラーゲンネットワークを同時にかつ高詳細に観察できた。さらに, 超高圧電子顕微鏡(大阪大学超高圧電子顕微鏡センター)及び電子トモグラフィー法を用い観察したところ, 骨芽細胞内の細胞小器官の分布には極性があり,それに呼応してコラーゲン細線維を放出する部位は,細胞小器官に富んだ部位であった。また, 得られた連続断層像から, 3次元構築ソフトAvizoを用いてコラーゲン細線維を1本単位で輪郭抽出し3次元構築したところ, これらは細胞外形を沿うように骨基質側方向へ走行することが分かった。今回, 直交配置型FIB-SEMを用いることで, 骨の細胞性ネットワークを観察するに十分な領域と, コラーゲン細線維を観察するに十分な解像度を備えたデータを取得し, 3次元的に観察することができた。さらに, 超高圧電子顕微鏡及び電子トモグラフィー法を用いることで, 骨芽細胞のコラーゲン細線維形成過程という従来観察が困難であった場面を高詳細に3次元的に観察することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、骨組織に対してのFIB-SEM観察がなされている。ただ、多光子励起顕微鏡による観察は、サンプルの培養条件を検討するのに時間がかかり、まだ観察までは行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
開頭した生後4週マウスの頭蓋骨表面にカバーガラスを設置し、観察窓を作成する。 これは、従来脳のin vivoイメージングで行われている方法を頭蓋骨観察に応用したものである。具体的には、エーテル麻酔下にて、マウスの頭部から直径5mmの円状に頭皮を剥がす。そして、円盤状スライドガラス(厚さ100μm)で被い頭蓋骨観察用ガラス窓を設置する。取り付けには、購入予定の実体顕微鏡を用いる。ガラスと骨組織の隙間はアガロースゲルで充填する。観察の確認には、教室所有の共焦点レーザー顕微鏡を用いる。ガラスの周囲は頭皮と固定器具を接着剤にて接合する。大腿骨においても同様の設置を行う。多光子励起顕微鏡から得られた断層画像から現有の3次元高精細構築ソフトIMOD Softwareを用いて骨コラーゲンを立体構築する。 60倍対物レンズで撮影した場合、x-y平面において最大約210X210 μmの範囲で撮影が可能である。撮影深度は、骨表面を中心に立体構築するので、30 μmあれば十分だと考えられる。 この範囲であれば、約100個の骨芽細胞ならびにその下に展開する骨コラーゲンの排出を同時に観察することが可能である。骨芽細胞観察には微分干渉顕微鏡、骨コラーゲンの観察には自家蛍光に必要な350nmで励起して蛍光観察を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験に使用予定であったFIB-SEMの故障のために、使用頻度が減り、機器使用料ならびにそれに伴う旅費の使用がなかったため。 本年2月に修理が終わり、従来の計画に従って行う。修理の期間中も、試料作成の条件を検討しており、実験自体に大きな遅れはない。
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Research Products
(1 results)