2015 Fiscal Year Annual Research Report
マルチオミクスによる口腔常在菌と歯周病細菌とのバイオフィルム形成機序の包括的解析
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25293426
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永田 英樹 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50260641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保庭 雅恵 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (00303983)
前田 和彦 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (00346165) [Withdrawn]
関根 伸一 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (70506344)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バイオフィルム / 歯周病細菌 / 口腔常在菌 / マルチオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病細菌が口腔内に定着するためには、先に定着している口腔常在菌との相互作用が重要な役割を果たす。本研究課題では、歯周病細菌と口腔常在菌との相互作用により、バイオフィルム形成や病原因子に関連するタンパク質の産生やそのタンパク質をコードする遺伝子の発現に与える影響をマルチオミクス解析により検討し、バイオフィルム形成機序を包括的に解明することを目的とする。 これまでの研究で、代表的な口腔常在菌の一つであるStreptococcus oralisと有力な歯周病細菌であるPorphyromonas gingivalisを共培養すると、バイオフィルム形成に関連する種々のタンパク質の産生や遺伝子の発現が影響を受けることをショットガン解析や定量的RT-PCR法にて明らかにした。さらに、影響を受けたタンパク質のうちmalate dehydrogenase (MDH)に焦点を当て、P. gingivalisのMDH欠損株を作製し、バイオフィルム形成能を調べたところ、バイオフィルム形成が抑制されたことから、MDHがバイオフィルム形成に重要な役割を果たしていることを示した。 本年度の研究により、両菌を共培養すると、P. gingivalisのFimA遺伝子の発現やS. oralisのglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase (GAPDH)遺伝子の発現が増加することを明らかにした。さらに、S. oralisはP. gingivalisのluxS遺伝子の発現を制御することによりバイオフィルム形成に影響を及ぼしている可能性があることを示唆した。今後は、バイオフィルム形成に関連する他の成分についても検討を加えるとともに、バイオフィルム形成を阻害する物質の探索にも研究を広げたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究期間中に、研究分担者1名が応募資格を喪失したため、研究組織から削除した。当初は、削除した研究分担者の役割を、研究代表者および他の研究分担者が補い、期間内に研究を完遂させる計画であったが、研究代表者の体調不良や、研究代表者の母の緊急入院や介護のため、当初計画の遅延を生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本来は、平成27年度で終了する計画であったが、上記の理由で補助事業期間の延長が認められたため、研究計画のうち、完遂できなかった部分を平成28年度で完遂させる予定である。研究代表者の体調もよくなったため、現在の研究体制で研究遂行可能であると考える。平成28年度は、これまでに明らかにした成分以外のバイオフィルム形成に関連する成分について検討を加えるとともに、バイオフィルム形成を阻害する物質の探索についても検討し、バイオフィルム形成機序の解明につなげたい。
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Causes of Carryover |
研究分担者の応募資格の喪失等により研究に遅滞が生じたため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に試薬の購入に使用する。
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