2014 Fiscal Year Annual Research Report
末梢神経障害性の痛みのある患者の組織的アセスメント技法の開発
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25293432
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
深井 喜代子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (70104809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新見 明子 川崎医療短期大学, その他部局等, 教授 (50171153)
肥後 すみ子 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 教授 (90320770)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 慢性痛 / 末梢神経障害性疼痛 / 糖尿病性末梢神経障害 / 痛みの多次元評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、難治性の慢性の末梢神経障害性、特に糖尿病性神経障害による痛みを持つ患者において、痛みの特徴、生活実態、痛み反応の多次元観察を遂行した。なお、倫理審査申請は代表者所属機関と岡山県立大学で行い、それぞれ承認を得た。 痛みのアセスメントツールの変更:本研究で使用予定の5つの疼痛評価尺度(VAS、MPQ、BRTP、Face Scale、7角形プロフィール)のうち、MPQ(マックギル疼痛質問票)は既成の短縮版を使用し、BRTP(痛み行動評価尺度)については万人が回答できる簡易版(Behavioral Rating Scale)(Strong、2002)を新たに採用した。これによって、ツールの信頼性・妥当性に加えて、年齢や性別、文化的背景に影響されない、簡便で分かりやすい痛み評価が可能になった。 研究対象者の募集と採用:26年度は糖尿病患者の末梢神経障害性疼痛を主に扱うため、研究協力者である住吉和子氏(岡山県立大学・教授)が主催する糖尿病患者の生活相談の機会(岡山県立大学、総社市社会福祉会館、水島市民病院)に、対象者と主治医の承諾を得たのち、事前に相談及び研究協力を募るビラを作成・配布して、フィールドと対象を確保する方策を立てた。 糖尿病性末梢神経障害による疼痛患者の痛みの観察:26年度は、左記の地域の在宅患者(総社市)を対象に、神経障害性疼痛患者の痛みを上記の生理学的・主観的評価指標を用いて測定・観察した。データ収集は深井、住吉のほか、訓練した臨時雇用者(学生を含む)とで行った。26年度は計6名の対象者が得られたが(うち4名が糖尿病患者)、例数不足のため系統的解析には至っていない。同様の方法によるタイでのデータ収集は実施しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倫理審査に時間を要したこと、体表者(深井)の体調不良期があったため、研究計画を予定通りに進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 平成27年度は、26年度の計画を踏襲する。なお、重心動揺、筋電図、心拍変動の3つの生理指標観察を評価指標に加えた研究は時間を要するため別立ての研究計画を立てて実施する。 神経障害性疼痛患者の痛みの観察:26年度に倫理審査委員会の承認を得た、種々の原因による神経障害性疼痛患者の生理学的・主観的評価指標を用いて測定・観察する。データ収集は分担者(新見)、研究協力者の住吉氏並びに訓練した臨時雇用者(学生を含む)で行い、例数を積む。なお、例数を増やすために、データ収集日に健康教育を行うなど、対象が集まりやすい工夫をする。データ解析には肥後も参加する。 タイと日本の糖尿病性末梢神経障害による痛みの国際比較:倫理審査委員会の承認を得て(タイと日本双方)、代表者の深井が所属する研究科と姉妹校がある東北タイの保健医療施設には多くの四肢痛のある糖尿病患者(近年のタイで急増)が通院している。そこで、我が国の同様の患者の痛みを夏期に計測・観察し、タイの患者の痛み(平成27年3月を予定)と比較する。 生体測定機器調整と予備的試行:平成26年度までに2組揃えたアクティブトレーサー(GMS)、筋電計(追坂電子機器)、既に過去の科研助成研究で獲得したペインビジョン(ニプロ)と重心動揺計を加え、神経障害性疼痛患者の痛みと痛み反応を、看護生理学的手法を用いた4種類の指標で観察する(心拍変動解析による自律神経活性、四肢・躯幹の筋緊張度、痛み度、身体バランス変動(重心動揺))。今年度は昨年度に引き続き、本試験に先立って上半期までに機器調整後、倫理審査申請を行う。承認後は、健康者による観察データ(コントロールとしての)を収集する。
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Causes of Carryover |
2015年3月に予定していたタイでの糖尿病患者を対象としたデータ収集が、代表者(深井)の体調不良により遂行できなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度にはその額をタイでのデータ収集(渡航旅費)に充てる計画である。
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Research Products
(3 results)