2013 Fiscal Year Research-status Report
診断期から緩和ケアに基づく放射化学療法中の頭頸部がん患者の口腔粘膜炎への看護介入
Project/Area Number |
25293441
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒尾 晴惠 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50326302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田墨 惠子 大阪大学, 医学部附属病院, 看護師長 (80572312)
山下 亮子 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90646788)
小林 珠実 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (50382263)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 化学放射線治療 / 頭頸部がん / 口腔粘膜炎 / 疼痛 |
Research Abstract |
【目的】本年度は、化学放射線治療を受ける頭頸部がん患者を対象に、口腔粘膜炎に伴う疼痛の経時的変化と疼痛管理の実態について明らかにした。 【方法】化学放射線療法(DOC+CDDP)を受ける頭頸部がん患者を対象に、放射線治療開始前から照射総線量が10±2Gy増す時点に計7~8回自記式アンケート調査とショートインタビューを行い事例ごとに分析した。調査内容として、疼痛は0~10Numerical Rating Scale(NRS)、口腔粘膜炎はCTCAE v4.0、Oral Assessment Guide(OAG)により評価した。また、口腔乾燥、オピオイド使用量、口腔ケアの状況を調査した。調査は、所属機関の倫理委員会の承認を得て実施した。 【結果】対象者は男性5名、年齢中央値62歳(59~66歳)であった。照射総線量は66Gyであった。口腔粘膜炎の疼痛に対しては、全員がオピオイドを使用していた(60~135mg/日)。疼痛の変化では、事例A、B(Oropharyngeal cancer)は6週目で10点に上昇した。嚥下・会話・欠伸などで苦痛を感じており、口腔粘膜炎はGrade3になった。事例C(Hypopharyngeal cancer)の疼痛は、4週目で8点になったが、絶食とオピオイド使用で低下した。7週目の口腔粘膜炎はGrade2であった。事例D、E(Laryngeal cancer)は、6点以下の疼痛で経過し、口腔粘膜炎はGrade2であった。対象者は看護師や歯科医師による口腔ケアの指導やフィードバックを受け、5名中4名が含漱を1日5回以上継続し、4~6週目で口腔粘膜炎の潰瘍化はなかった。 【考察】化学放射線療法によって生じる口腔粘膜炎の疼痛の変化は、Oropharyngeal cancerにおいて5~6週目で高かった。Oropharyngeal cancerでは、口腔の照射線量が多く炎症が増強するため、咀嚼・嚥下・構音時の苦痛が大きいと考えられた。そのため患者の治療計画作成時点から苦痛を予測して口腔ケアを支援する必要がある。また、口腔ケアの継続には医療者のフィードバックが重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画である、化学放射線療法をうける患者の口腔粘膜炎に伴う疼痛の経時的変化ついて、事例から明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、当初の計画どおり、放射化学療法を受ける頭頸部がん患者に関わる医師・看護師の実態調査と患者を対象にした調査を行なう。研究連携者と協力して、複数の施設で調査を行なう予定である。 実態調査①患者側の積極的な鎮痛剤の使用並びに早期からの疼痛緩和を阻害している要因の明確化 実態調査②医師と看護師の積極的な鎮痛剤の使用並びに早期からの疼痛緩和を阻害している要因の明確化 患者と患者を治療・ケアする医師と看護師のインタビュー調査とする。患者対象の調査では疼痛の出現時にはインタビューで言語化して話すことに苦痛があるため、放射線治療終了後1から2週間たってから、振り返りで語ってもらうなど、患者の苦痛に配慮してデータ収集をすすめる。インタビュー内容を質的帰納的に分析し、積極的な鎮痛剤の使用並びに早期からの疼痛緩和の阻害要因を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
文献を整理するためのソフトの購入費を計上していたが、文献を整理する作業の着手が遅れたために、購入ができていなかった。研究分担者が、作業を行なったため、研究補助者の雇用が予定より少なくなった。また唾液量の測定のために、唾液量測定器を購入予定であったが、口腔乾燥の測定を主観的データで収集することになり、測定器の購入を行なわなかったことにより差額が生じた。 文献を整理していくことが必要であり、文献整理ソフトを購入する。また、唾液量測定器は最終の介入に向けて購入の準備をすすめると共に、研究補助者を有効に活用し、研究を進めていく。
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