2013 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者の最適身体活動量の維持をめざす多機能携帯電話利用看護支援システムの検証
Project/Area Number |
25293450
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
外崎 明子 独立行政法人国立国際医療研究センター, 国立看護大学校, 教授 (20317621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 真誠 徳山工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (80408707)
松澤 智史 東京理科大学, 理工学部, 助教 (20385529)
田畑 耕治 東京理科大学, 理工学部, 講師 (30453814)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 癌 / 化学療法 / 発熱性好中球減少症 / 身体活動量 / 通信システム |
Research Abstract |
本研究は外来化学療法患者の重症有害事象の発症予測式を作成し、この予測式を搭載したTablet型PCによる通信システムを構築する。システム利用により対象者は自己観察した身体状況データを送信し、重症な有害事象発症の予測時には医療者が受診勧告や有害事象発症予防の徹底などの注意を促すメッセージを発信する相互通信システムを構築し、この効果を評価する。効果指標には有害事象発症率の低下と低活動生活様式の改善や骨格筋肉量低下等の代謝障害予防効果を評価する。 初年度の本年は「重篤有害事象の特定とその関連要因の先行調査」「代謝障害であるインスリン抵抗性の増大と身体活動量の関連に関するパイロット研究」「有害事象発症予防通信システムに関する英国との情報交換」を計画し、下記のような実績であった。 1.有害事象の特定と関連要因の決定:外来癌化学療法では発熱性好中球減少症(FN)が致死的有害事象であり、この発症予測式をretrospectiveデータ解析により作成する。肺・大腸・乳癌の化学療法患者の病歴調査実施にあたり倫理審査承認を得、FN発症の有無、発症関連予測要因のデータ収集を完了した。次年度はこれらより予測式の作成と通信システムの構築を推進する。 2.乳癌化学療法中患者の身体活動量とインスリン抵抗性の関連:乳癌化学療法中の患者14名の活動強度別身体活動量、平均歩数、身体組成、下肢筋力とインスリン抵抗性(HOMA-R)の関連性を検証し、低活動様式や体脂肪率高値がインスリン抵抗性の高さと関連することが示唆され、論文投稿予定である。 3.英国の関連研究領域の情報収集:Southampton大学、関連病院を訪問し、化学療法患者での有害事象発症時の重症度判定(トリアージ)システム、通信デバイスを活用した身体情報(バイタルサイン、経皮的動脈血酸素分圧等)の送信システムに関する情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
病歴調査を開始するにあたり、研究倫理審査委員会の承認は得られたものの、院内情報システム管理上の手続きに時間を要して、25年度内に病歴データの解析を終える予定であったのが、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成25年度に得られた病歴データよりFN発症予測式を作成する。 2.1.の予測式を搭載し、これに外来化学療法を受ける患者が身体状態、活動量データをTablet型PCを用いて送信できるアプリケーションを開発する。prospectiveデータを予測式に投入することで、FN発症が予測される場合は、医療従事者から注意喚起ができるような通信システムを開発する。 3.FN発症やその他の有害事象の発症が予測される場合について、重症度判定基準の決定と重症度に応じた対応方法ガイドラインを作成する。 4.適切な身体活動量が維持されているかの指標となる代謝機能評価指標を決定し、このデータ収集方法を決定する。 5.上記の研究内容について、プレテストにより精錬を重ね、さらに研究参加者の人権やプライバシーの保護について熟慮した方法について、研究倫理審査委員会の承認を得る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.病歴調査の開始時期が院内情報システム管理の承認を得るために時間を要したために、この調査にあてる調査員の謝金として予算化していた経費を使用しないままとなり翌年度分に繰越となった。 2.乳癌化学療法中の患者の身体活動量とインスリン抵抗性の関連に関する論文を英文雑誌に投稿する予定で翻訳等の経費を予算化していたが、この調査について対象患者数の獲得に時間を要し、調査期間が当初予定より延長したため、これにあたる経費が翌年度分に繰越となった。 病歴調査およびこれの解析にあたる調査員謝金、論文投稿に関する費用は平成26年度の上半期の早い時期に使用予定である。
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