2015 Fiscal Year Annual Research Report
歯科専門職との連携による更年期女性と在宅高齢者の口腔ケアの質の向上に関する研究
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25293469
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岡田 忍 千葉大学, 看護学研究科, 教授 (00334178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下 和代 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (00149254)
大滝 千智 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 助教 (00719891)
森 恵美 千葉大学, 看護学研究科, 教授 (10230062)
石井 邦子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (70247302)
麻生 智子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 講師 (80248848)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 口腔ケア / 更年期 / 在宅 / 高齢者 / 歯科専門職 / 訪問看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、更年期女性の質問紙調査の結果について分析し、学会で発表した。口腔の健康とQOLは、50~54歳代が最も低く、50歳代に多い健康障害とQOL低下は「歯肉の腫れ」「歯の動揺」等であった。口腔保健行動は年齢と共に増加傾向にあり、「年に1~2回の歯科健診」「歯の治療はお金がかかっても受ける」等が増加していた。口腔保健行動の関連要因については、「準備要因」「実現要因」「口腔保健行動(方法)」「口腔保健行動(頻度)」「口の健康」「QOL」の6要因が抽出され、「口腔保健行動(方法)」と「口腔保健行動(頻度)」には「準備要因」「実現要因」「口の健康」との有意な関連があった。口腔の健康障害やQOL低下を自覚する更年期前半に、口の健康に関する情報を提供することで口腔保健行動につながると考えられた。 また、訪問看護ステーションの口腔ケアの現状、利用者の口腔の状態に関する質問紙調査の結果をまとめ、希望のあった訪問看護ステーションに結果を報告した。回答のあった訪問看護ステーションは46件、利用者は41名であった。約7割のステーションで必要な利用者の口腔アセスメントを実施していたが、約半数が困難を感じていた。困難を感じる口腔ケアの内容は「開口・閉口状態の維持」「ケア拒否」「高度の誤嚥リスク」等であった。約4割で歯科専門職の訪問への同行経験があった。利用者の平均年齢は79.1±9.9歳、約7割が要介護4・5で、残存歯数は8.6±10.0本、約8割が経口摂取で、胃瘻は8名であった。口腔ケアの頻度は、約半数1日1~2回であったが、胃瘻のうち3名は週2~3回以下であった。口腔の状態で最も多かったのは、口腔乾燥であった。口腔のアセスメントやケアにおいて困難を感じているステーションが多く、利用者の口腔ケアが不十分なケースがあることがうかがわれ、在宅でも歯科専門職と訪問看護師の連携が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
訪問看護ステーション、利用者の質問紙調査の回答率が非常に低く、訪問看護ステーションから利用者に対して研究への協力を依頼することが非常に難しいことが明らかになった。したがって、当初予定していた直接利用者に介入を行うという評価の方法について見直しが必要と判断されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
更年期女性については、千葉市等の歯周病検診を受検した更年期女性の口腔保健行動の特徴や歯周病検診受検後の歯周病原因菌の変化についての調査を計画しており、現在千葉市に研究への協力について打診中である。 訪問看護ステーションの利用者に対する介入については、質問紙調査の結果に基づいて訪問看護師が利用者の口腔ケアについて困難を感じていることを中心に、歯科専門職から訪問看護師に対して、口腔ケアの知識、アセスメント、具体的な手技を伝達することを目的とした研修会を実施し、研修会後の利用者の口腔ケアに対する取り組み、研修会で得た知識・技術によって口腔の状態に改善の見られた利用者の事例について報告を依頼し、集まった事例を分析することによって、間接的に研修の効果、口腔ケアの質の向上について評価することを計画している。
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Causes of Carryover |
国際学会が千葉市内での開催であったため、旅費の支出が予想よりも少なかった。また、千葉市の歯周病検診受検者を対象とした調査、訪問看護ステーションを対象とした研修会の準備が間に合わず、次年度の実施となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表を行った論文の投稿、千葉市の歯周病検診受検者を対象とした調査での歯周病菌の外注、研修会の開催に関わる費用(会場費、案内の印刷、講師謝金等)として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)