2013 Fiscal Year Annual Research Report
中央ユーラシアにおける探検隊考古資料を活用した無形文化遺産の保存伝承研究
Project/Area Number |
25300005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
鵜島 三壽 関西外国語大学, 国際言語学部, 教授 (60515774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 和哉 大谷大学, 文学部, 准教授 (90643081)
斎藤 完 山口大学, 教育学部, 准教授 (10403635)
セミ アブドラフマン 東京藝術大学, 音楽学部, 講師 (40643432)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 無形文化遺産 / 十二ムカーム / トルディ・アホン / 楽器製作修理 / 芸能壁画 |
Research Abstract |
中国の新疆ウイグル自治区で伝承される十二ムカームは、歌舞、器楽が一体となった芸能で、ユネスコの無形文化遺産に登録されている。このムカームはトルディ・アホン(1881~1956)の伝承を元にして、現在まで保存・継承されてきた。最近、1951年に録音された彼の演奏や関係者のインタビュー資料が、新疆芸術学院で発見された。これは無形文化遺産の伝承のみならず、変容などを知る上で重要な資料となるので、収録時のことを知る関係者に聞き取り調査を行った。また、同市内にある新疆ムカーム芸術団において、日本との比較という観点から笛の形態とともに、その演奏方法について調査を行った。 一方、新疆ウイグル自治区南部のホータンで日本の大谷探検隊資料に関連した芸能調査を予定していたが、新疆ウイグル自治区文化庁から現地の治安状況などを理由に調査の延期を打診された。そのため、代替措置として甘粛省、寧夏回族自治区、青海省において、芸能伝承と文化財保存技術という2つの観点から、楽器製作修理にかかる職人の所在調査を行った。その結果、ウイグル族における芸能伝承の種類の豊富さと密度の濃さが明らかになった。 また、遼寧省、内蒙古自治区において芸能に関連する壁画や俑などの考古調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新疆ウイグル自治区の治安状況などから、南部での調査は延期となったが、こうしたことは当初の申請時から想定していたため、申請書に記していたとおり、新疆ウイグル自治区に隣接する甘粛省、寧夏回族自治区、青海省で、楽器製作修理という文化財保存技術の調査を実施した。その他については、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年4月以降においても、中国新疆ウイグル自治区ではいくつかの事件が発生している。調査実施の是非および円滑な運営においては、ウルムチ市内にある文化庁とより一層連絡調整を図らねばならない。 平成26年度に調査を予定しているウズベキスタンのシャシュマカームは、ユネスコの無形文化遺産に登録されている。当該地における調査は、今回のメンバーでは初めてであるので、文化庁と緊密な連絡調整をはかる。また現地調査までに、イギリスのランスデルが残した資料のみならず、他の探検隊資料も精査しておく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
中国新疆ウイグル自治区の治安状況などから、当該地の調査を後回しとし、代替措置として甘粛省、寧夏回族自治区、青海省とした。現地における演奏謝金および旅費の減少から、若干の残金が発生した。 平成26年度の主たる調査地はウズベキスタンだが、こちらの方が新疆ウイグル自治区より遠いため、さらに旅費がかかる。25年度よりも26年度の方が交付決定額が少ないため、旅費等で使用する。
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