2014 Fiscal Year Annual Research Report
ケニア農業地域における地形学的土地条件評価と民族土壌学的農地利用形態との相関
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25300008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大月 義徳 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00272013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 元 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (10241514)
佐々木 明彦 信州大学, 山岳科学総合研究所, 研究員 (20608848)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ケニア / 地形変化 / 土地条件 / 農業 / 環境認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、ケニア国内における農業生産活動中心地において、現成自然環境に応答し地形単位ごとに異なる発現形態を示す地形変化プロセスに主として着目し、農耕地の土地条件の評価手法を明らかにすることを第一の目的とする。次いで、同地域における現地農耕 民の意図的あるいは無意識的な農地利用の実態を、当事者らの農地や営農形態に関わる経験的認識、土着・伝統的な知識を収集することに基づく民族土壌学的視点から明らかにし、研究者・現地農耕民間に存在する土地環境認識の差異を明示するとともに、土地条件に関わる情報を両者間で共有する意義と手法を確立することを最終目的とする。 調査対象地として、従来から継続してケニア中央高地キクユ人集住地域(一部、マサイ人集住地域) (Nyeri, Laikipia Counties) と、近年設定された西ケニア、ヴィクトリア湖岸ルオ/キシイ人集落 (Homa Bay County)において現地調査を継続実施した。 平成26年度には、Nyeri CountyおよびLaikipia Countyの調査対象集落において、1) 気象データの回収と観測装置の点検補修、2)大規模ガリーの発達するAberdare地域、North Laikipia地域においてキネマティックGPS測量などを実施した。またHoma Bay Countyにおいては、3) 気象、地下水位観測データの回収と観測装置の点検補修、4)バッドランド化した土壌浸食地のキネマティックGPS測量などを実施した。また各調査地点においては農耕従事者を中心に、5) 土地利用・営農および生計維持形態・土地環境認識に関するインタビューを、現地共同研究者とともに行った。最終年度においても上記諸データの蓄積を図りつつ、本研究の目的達成を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
気象(気温、降水量)、地下水位に関する継続的観測データ、および地形地質調査データの入手は、おおむね円滑に実施され、各調査地域の地形学的自然地理学的土地条件の現状は把握されつつある。また相対的に急速な地形変化発現箇所においては、初年度の測量 データをほぼ取得することができ、最終年度における取得データとの比較により、ガリー伸長状況、多重スランプ斜面の変位状況など評価し得るようになった。土地利用、営農形態、土地環境認識等に関わるインタビュー調査データも蓄積されつつある。 しかしながら、地形変化プロセス発現状況を加味した土地条件図の図化への着手、および地域行政組織における土地環境認識や土地利用計画に関わる情報収集にやや遅れが生じており、この点の見直しが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた結果に基づき、引き続き4~5地域において現地調査および各種観測データの取得を行う。とくに本課題において主たる検討課題としたガリー浸食地域(熱帯高地地域および半乾燥-亜湿潤地域)についての調査観測が、データ蓄積の上からより重要であり、同地域での作業を重点的に行う必要がある。地形変化に関わる現地調査に加えて、放射性年代測定を主とする室内土壌分析を実施し、地形変化の地史的起源やその要因等について考察する計画である。 また、農耕民および非農耕民の地形変化や土地環境に情報認識の差異を明らかにするとともに、将来における土地環境条件の変化に強く寄与する環境因子を明示しつつ、本課題全体を総括することを計画する。
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Causes of Carryover |
気象水文観測機器の更新等、当初予定していた物品の購入計画を変更したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
気象水文観測機器の劣化は当初の予想より進行しておらず、これまで更新を実施しなかったが、最終年度の更新に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)