2013 Fiscal Year Annual Research Report
西アフリカにおける都市の衛生改善と農村の荒廃地修復システムSLDACSの構築
Project/Area Number |
25300011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大山 修一 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (00322347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 史 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教 (20512239)
堀 信行 奈良大学, 文学部, 教授 (40087143)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 砂漠化 / 環境修復 / 在来知識 / 土地制度 / 都市衛生 / 土地荒廃 / 国際研究者交流 / サヘル |
Research Abstract |
アフリカ諸国において、2000年以降の資源価格の高騰、都市域の拡大、人口の急速な増加、活発化する経済活動にともなって、企業・個人による資源利用、環境開発が活発になり、自然環境の荒廃、つまり、砂漠化の問題が深刻となっている。本研究の目的は、西アフリカに居住する人々の自然に対する環境認識や環境修復に関する在来知識をもとに、「都市の衛生改善と農村の砂漠化防止システム」(SLDACS(シルダクス))を構築し、行政機関との連携を通じて、その普及により、都市の衛生改善、農村の生産基盤である自然環境の修復、食料自給の達成、土地紛争の予防および地域の安定をめざすことにある。 研究代表者(大山)と、分担者、研究協力者の大学院生が年度はじめに研究のすすめ方に関する確認と打ち合わせをおこなった。2013年11月から12月にかけて、研究代表者の大山と分担者の近藤史がガーナの都市のゴミと衛生問題、農村の土地利用、砂漠化・食料問題について予備的な調査を実施するとともに、ケープコースト大学との研究連携について打ち合わせた。 大山は12月から1月にかけてニジェールで現地調査を実施した。気象観測データの回収、土壌サンプリング、土壌層と植物生育の状況を観察し、生ゴミ施用にともなう緑化と生物活動の推移について共同放牧地の設営によるモニタリングを実施した。ゴミの投入後、緑化がすすむプロセスを追跡するために、インターバルカメラによって1時間おきにデジタル写真を撮影し、その解析をすすめた。 堀信行はカメルーンにおいて都市化の進展にともなう人間活動と環境の変化について調査を実施するとともに、海岸地域とカメルーン山周辺の自然観、とくに山岳と海域に対する自然認識とそれに対する人間の対応について調査を実施した。また、研究成果をとりまとめるため、これまでのデータの整理をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ニジェールにおける圃場実験と共同放牧地の設置は住民の協力もあって、当初の計画以上に進展している。気象観測のデータや自動撮影カメラによる共同放牧地の緑化の進行も把握することができ、都市ゴミ施用による緑化の効果を確かめることができた。また、牧草地としての牧畜民による圃場利用をモニタリングする体制づくりをすすめることができた。国際学会でのセッション企画と研究成果の発表が無事に終了し、ガーナやカメルーンでの現地調査は順調に進展するとともに、ケープコースト大学の研究者とのネットワークづくりにも着手し、研究計画は当初の計画以上に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
ニジェールでは、1年目に設置した共同放牧地の土壌および植物、生物相の観察を継続し、都市ゴミのもつ緑化効果を検証していく。また、農耕民と牧畜民から、共同放牧地の設営に関するインタビューを繰り返し、農村における村びとどうし、あるいは農耕民と牧畜民の関係を分析し、共同放牧地のもつ、農耕民と牧畜民のコンフリクト予防に寄与する効果を検証し、SLDACSの理論化と普及の方策を検証する作業に従事する。牧畜民の生態、とくに生業や移動に関する調査を強化するため、あたらに研究分担者を追加する予定である。
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