2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25300020
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Shuchiin University |
Principal Investigator |
頼富 本宏 種智院大学, 人文学部, 講師 (50065934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 栄 独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館, その他部局等, その他 (40290928)
伊藤 奈保子 広島大学, 文学研究科, 准教授 (20452625)
松本 峰哲 種智院大学, 人文学部, 准教授 (40351275)
SHAKYA Sudan 種智院大学, 人文学部, 講師 (60447117)
那須 真裕美 種智院大学, 人文学部, 講師 (40424973)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 東インド / バングラデシュ / 仏塔 / 法具 / テラコッタ製品 / 銘文資料 / パーラ朝 / 密教 |
Research Abstract |
初年度である平成25年度は、東インド・オディシャ州と西ベンガル州において現地調査を実施した。オディシャ州ソーランプル、タラプル、ラングディを中心とする近年の出土資料、および西ベンガル州・ジャグジヴァンプル(2001-2005年発掘)のナンダディルギ僧院趾と出土品、モガルマリ(2013年秋より発掘開始)の僧院遺構と出土品の調査を通じて得られた基礎資料を、調査後2度の連絡会で研究代表者・研究分担者の間で共有した。研究の着眼点や留意点、問題点を検討することによって、以下の点を確認した。 1. ソーランプル出土品は、すでに知られているカタック地区の出土品と時代・様式が共通する部分が多い。なお、前回調査時(2011年)以降、同地をヒンドゥー寺院として整備しつつある。 2. マハーナーディ河流域であるタラプル出土品の中には、上部に五仏を一列に配する形式が見られる。同河流域のカタック地区出土品にも、バングラデシュ側のガンジス河流域出土品にも共通する特徴である。 3. ジャグジヴァンプル出土資料のうち、とくにテラコッタプレートにおいて、ヴィクラマシーラ寺院趾(ビハール州)やソーマプラ寺院趾(バングラデシュ)出土品との共通点が見られる。しかし、モチーフの中にはジャグジヴァンプル特有と思われるものが窺われ、ヴィクラマシーラ寺院趾などのようにそれらを嵌入していた仏塔(十字型祠堂)は未発掘である点に留意する必要がある。 4. ガンジス支流域であるモガルマリ出土資料の特徴は、周辺の他遺跡出土品ともオディシャ州の各遺跡出土品とも一致しないものが多い。ガンジス河のさらに上流域との関係を視野に入れて、検証を進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、東インドにおいて近年新たに発掘された遺跡・遺品の調査・検討を目的とする。そのため、(1)仏塔・僧院趾などの遺構、(2)時代性・地域性の特徴が明確に把握することができる仏像などの中型出土品に加え、見過ごされがちな(3)碑文・銘文資料、(4)鋳造仏塔や舎利容器などの小型法具や(5)テラコッタ製などの小型出土品にも重点を置いている。今年度の調査および資料研究では、(1)、(2)と(5)について所期の目標に達する成果を得た。(3)と(4)については、他例との比較・検証に時間を要することから、継続する考察課題としている。
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Strategy for Future Research Activity |
継続して現地調査を実施し、得られた基礎資料に対して検証・考察を深める。次年度には、当該地域の雨季の影響を鑑み、12月と翌2月に当初の計画に基づいて現地調査を実施する。対象地は、東インドおよび隣接するバングラデシュ西部地域を主とするが、とくに出土資料に関してはオディシャ州南部、発掘遺構に関しては西ベンガル州のガンジス河流域南部での情報を平成25年度調査時に入手したため、これらも調査対象として検討資料の充実に努める。 得られた資料を基にして、(1)仏塔・僧院趾などの遺構、(2)仏像など中型出土品、(3)銘文資料、(4)鋳造の小型法具類、(5)テラコッタ製の小型出土品についての各分野において、隣接地域および文化的影響関係にある地域からの出土品との比較検討を含め、検証を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査対象地における研究協力者と研究代表者・分担者の間での日程調整により、2度の現地調査予定が1度の実施となったため。 「今後の推進方策」に記述した通り、東インドとバングラデシュを調査対象地とする2回の現地調査に充当させる。
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Research Products
(2 results)