2015 Fiscal Year Annual Research Report
ペルー北部ヘケテペケ谷最古の神殿はなぜその地点に建ったのか：編年と成立背景の研究
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25300036
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
鶴見 英成 東京大学, 総合研究博物館, 助教 (00529068)
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2013-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | ペルー / アンデス / 文明 / 神殿 / 形成期 / 定住 / 地域間交流 / 先土器 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
ペルー中部・北部の諸河谷流域にて紀元前3000～50年頃にかけて､神殿建築を中核とする定住村落群が登場した。これがアンデス文明の始まりの画期とされる。近年とくに土器の導入に先立つ｢先土器神殿｣の発見が相次ぎ､各河谷の｢最初の神殿｣への関心が高まっている。しかし発掘規模の小ささや絶対年代測定の不徹底により､先土器神殿の編年の遺跡間･地域間比較が遅れており、また｢神殿はなぜ最初にその地点に成立したのか｣という根源的な問いに対する実証的研究が不十分であった。研究代表者は本研究に先立って、ペルー北部ヘケテペケ川中流域のモスキート平原に分布する遺跡群が、流域最古の神殿群であるとの見通しを得ていた。本研究は測量･発掘･年代測定･景観分析によって、その編年および居住域などを含めた地域社会の動態を包括的に解明し、さらに他の河谷との長距離交易システムに着目することで、アンデス文明の形成過程の特徴を明らかにする計画である。
平成26年の発掘で、平原東端の「モスキートZ」神殿の基壇の形態を把握し、平原中央部では耕作地らしいテラス群を確認した。平成27年は、平原東端のその他のマウンド群が先土器神殿であるか確認すること、中央部・西部の耕作テラスの配置と編年を解明することを目的に、８～10月に調査を実施した。まず5週間の測量で、新規発見のものを含め平原内の遺構の図化を完了した。続く6週間に平原内の26地点で発掘を展開した。耕作テラス群に1～2㎡規模の試掘を重ねて土壌サンプルを採取、用水路と見られる遺構群はトレンチ発掘し、取水口や流向の推定のみならず、流路の変更や支線水路の封鎖などを確認した。神殿については、モスキートZ中央部の発掘にて先土器神殿に特徴的な炉と壁がんを持つ祭祀空間を検出したほか、「ラマダ平原A」、Y、Pのマウンド群が神殿であるとの見込みを得て、それぞれ年代測定用の炭化物サンプルを採った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のとおり平成27年度には、合計26地点という大がかりな発掘計画を完遂し、モスキート平原の全域から必要なデータを集めることができた。必要なフィールドワークを完了したという点で研究は順調である。またペルー国内で進めている耕作地土壌の分析については、土壌サンプルの理化学分析と花粉分析が完了し、土中の微細遺物の分析を待つだけとなっている。しかし、ペルー文化省内において分析サンプルの輸出許可の手順が変わり、時間がかかるようになったため、28年4月時点でまだ年代測定用の炭化物の日本への輸出許可が得られていない。そのため年代測定が遅れているが、平成28年度内に完了させることに支障はない。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は分析、総括、成果発表に充てることとする。まず炭化物サンプルが日本に着き次第、東京大学総合研究博物館年代測定室にて年代測定を実施する。7月～10月にペルー渡航を計画しており、その際にペルー国立トルヒーヨ大学考古生物学研究室にて分析担当者と意見交換を行い、土壌サンプルの分析を完了する。
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| Causes of Carryover |
ほぼ計画通りに執行した。次年度の分析費用に充当すべく、少額を繰り越すことにした。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
分析費用に充当する。
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