2014 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロネシアにおける巨石文化の成立と社会複雑化のプロセスを探る考古学的研究
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25300042
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
片岡 修 関西外国語大学, 国際言語学部, 教授 (90269811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石村 智 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, その他部局等, 研究員 (60435906)
竹中 正巳 鹿児島女子短期大学, その他部局等, 教授 (70264439)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マリアナ諸島 / グアム島 / ハプト遺跡 / アガ・トンガン遺跡 / 巨石文化 / ラッテストーン / ナン・マドール遺跡 / ユネスコ世界文化遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
「仮説検証的事例研究」班は、平成27年度に予定している本格調査を前提にグアム島の南端に位置するアガ・トンガン遺跡の発掘調査を実施した。一方、「総合的比較研究」班はユネスコ世界文化遺産登録申請書の追加資料となるミクロネシア連邦ポーンペイ島のナン・マドール遺跡の遺跡現状調査と、宿泊先敷地内の遺跡の調査と遺跡関連の口頭伝承の収集を行った。 アガ・トンガン遺跡は2004年にグアム歴史保存局が試掘調査を行い、プレ・ラッテ期とラッテ期の遺物を採集し、ラッテ期の年代としてAD. 1430-1660の炭素年代を得ている。プレ・ラッテ期の年代は不明であるが、土器形式から中期プレ・ラッテ期の500 BC.-AD.400の年代が想定されている。また、今回の調査では2時期をつなげるトランジション期(移行期)の土器が出土し、高床式建造物床下の石柱であるラッテストーンの出現で特徴づけられるラッテ期の形成について理解が可能な資料となった意義は大きい。 ポーンペイ島では、巨石複合遺跡であるナン・マドール遺跡のユネスコ世界文化遺産登録申請に向けて、書類の一部として平成26年に作成されたインベントリーの内容強化と、今後の遺跡と周辺環境の保全を目的に現状調査を実施した。ナン・マドール遺跡を構成する95の人工島のうち、33の人工島と外洋に面した外壁の現状調査を行い、平成27年2月に提出された申請書に調査成果が追加された。 また、ナン・マドール遺跡に隣接するテムエン島の宿泊先となったSilbanuz氏宅の敷地内に築かれた4基の祭祀遺構を調査する機会を得た。それらの遺構はシャウテレウル王朝による全島支配の構造や背景を理解する上で、ナン・マドール遺跡内の遺構や、2005年以降数度に渡って調査を実施したメチップからトラパイルに至る半島地域で確認した遺構群と比較研究の良好な資料となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実施した約4,800平方メートルのグアム島のアガ・トンガン遺跡の発掘調査で、土器の出土からプレ・ラッテ期とトランジション期とラッテ期の3時期の存在が明らかになったことは、巨石文化の表象としてのラッテ期への変遷の理解の可能性を示唆した。 本年度の予備調査は、平成27年度に予定している本格調査の調査方法および研究の方向を明確にした点で達成度が高い。また、プロジェクト全体の研究目的を考慮しても、今年度の調査は順調に達成できたと考えている。 ポーンペイ島のナン・マドール遺跡の現状調査は、時間の制限があったにも関わらず効率よく円滑に作業を実施し、予想以上の成果を得ることが出来た。また、当初予定していなかったテムエン島の祭祀遺構の調査成果は、今後の研究の方向性を明確にした点で高い達成度として評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今まで行ってきた北西海岸の石灰岩台地の崖下に築かれたほぼ同時期のハプト先史村落遺跡と、グアム島南部の火山地形の海岸平野に築かれたアガ・トンガン遺跡との今後の比較研究の成果が大いに期待される。 「仮説検証的事例研究」班は、アガ・トンガン遺跡の性格をより明確することを目的に、予備中佐の成果に基づき発掘を継続する。具体的には、現在未定のトランジション期とプレ・ラッテ期の年代を決定する予定である。「総合的比較研究」班は他島との巨石文化の比較研究目的で、西カロリン諸島のパラオあるいはヤップ島の調査を予定している。文献の網羅的収集および現地における聞き書きを中心に調査を実施したい。
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Causes of Carryover |
発掘調査には少なくとも3週間程度は必要で、分担者に加え複数の協力者(大学院生、大学学部生、現地協力者)が不可欠なため、予算は航空運賃、宿泊費、日当を含む旅費が主要な使途内容となる。また、発掘調査から得られる炭化物による年代測定料金(専門研究機関に依頼)が占める予算の割合が大きいことが想定される。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主要な予算使途内容は次の通りである。 (1)旅費(航空運賃・ホテル、日当)、(2)人件費(謝金など)、(3)現地でのレンタカー賃借料、 (4)その他(炭素年代測定量)、(5)発掘用器材
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Research Products
(3 results)