2014 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯原生林の狩猟採集民と農耕民の共生に関する人類学的研究
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25300045
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
金沢 謙太郎 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (70340924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
分藤 大翼 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (70397579)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 民族学 / 熱帯原生林 / 狩猟採集民 / 農耕民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、狩猟採集民と農耕民の共生関係を、マレーシアのサラワク州のバラム河上流域(ウルバラム)を対象に、熱帯原生林をめぐる両者のコミュニケーション過程という分析視座から追究することである。サラワクで現在、唯一まとまった原生林が残っているのがバラム河上流域である。その森に暮らし、その森をまもってきたのは狩猟採集民のプナン人である。しかし、商業伐採に対峙し生活していくには、周囲の農耕民(クラビット人)の理解が必要である。両者の間ではこれまでどのようなコミュニケーションが行われてきたのか。本課題の追究を通じて、技術的背景が異なる社会間の共生、さらには森と人の共存のあり方について、人類学的含意を提示する。 上記の課題に照らして、2014年度は次のような成果を得ることができた。第一に、研究代表者と研究分担者はともに、バラム河流域の複数の狩猟採集民(プナン人)ー農耕民間(クラビット人、カヤン人)のコミュニケーション過程を観察し、その特徴を考察した。第二に、現地住民との信頼関係を築き、研究協力体制を整えた。第三に、IUAES(International Union of Anthropological and Ethnological Sciences)2014大会や国立民族学博物館の研究会において、随時研究報告を行い、狩猟採集民研究者との活発な質疑応答や議論を行った。第四に、本研究メンバーは、信州大学内の「ウルバラム研究会」に集い、研究の進捗状況に関して意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に照らして、一定の研究成果を公表、蓄積している。すでに刊行が決まっている論文がある。国際学会や国内学会での研究発表や論文投稿も予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
適宜ウルバラム研究会を開催し、研究メンバー間の連携を密にする。現地研究機関との協力体制や現地住民との信頼関係を深める。調査対象集落での調査では、量的な社会学的調査と質的な人類学的調査を併行して行う。また、本研究成果を国際的な水準で発信していく。
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Causes of Carryover |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が遂行できたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は本年度予算の1%未満である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成27年度請求額と合わせて、27年度研究計画に沿った適切な予算執行を行う。
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Research Products
(4 results)