2015 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯原生林の狩猟採集民と農耕民の共生に関する人類学的研究
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25300045
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
金沢 謙太郎 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (70340924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
分藤 大翼 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (70397579)
小泉 都 京都大学, 総合博物館, 学術振興会特別研究員 (00506884)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 民族学 / 熱帯原生林 / 狩猟採集民 / 農耕民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、狩猟採集民と農耕民の共生関係を、マレーシア、サラワク州のバラム河上流域(ウルバラム)を対象に、熱帯原生林をめぐる両者のコミュニケーション過程という分析視座から追究することである。サラワクで現在、唯一まとまった原生林が残っているのがウルバラムである。 上記の課題に照らして、平成27年度は次のような成果を得ることができた。1)本研究メンバーは調査対象集落において計4回のフィールドワークを行った。メンバーの定期的な訪問により、地域住民との信頼関係が深まったほか、季節的なバイアスを小さくする参与観察や聞きとり調査が可能となった。2)狩猟採集民集落において、全戸に対して世帯別聞きとり調査を行った。3)農耕民集落において、全戸に対して世帯別聞きとり調査を行った。狩猟採集民との婚姻事例を確認した。4)農耕民の生業・生活に関する映像資料を収集、分析した。5)狩猟採集民の植物利用・知識に関する調査、分析を行った。6)マレーシア・サラワク大学のボルネオ研究所で調査報告会を行った。7)熱帯雨林保全活動を行うサラワクの民間団体と情報交換を行った。8)熱帯雨林保全活動を行うスイスの民間団体と情報交換を行った。9)ウィーンで開催された狩猟採集民会議の参加者と情報交換を行った。10)狩猟採集民に関する研究書の分担執筆を行った。11)信州大学内で「ウルバラム研究会」を開催し、本研究メンバーの調査報告を行い、今後の課題を議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地でのフィールドワークを通じて、各エスニック集団の映像資料や植物利用知識、集落ごとの世帯データ等を蓄積している。本課題の焦点である狩猟採集民と農耕民とのコミュニケーション過程について考察を深めることができた。出版まで時間を要している論文原稿もあるが、今後も学会での研究発表や論文投稿を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
マレーシア・サラワク大学のボルネオ研究所との協力体制や現地住民との信頼関係を維持する。他のエスニック集団間との比較研究を行う上で、専門知識をもつ連携研究者の協力を得て進めていく。適宜ウルバラム研究会を開催し、共同研究の成果をまとめ、国際的な水準で発信していく。
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Causes of Carryover |
現地相手方研究機関の都合により、研究打ち合わせのための短期出張を1回見送り、次年度に延期したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度延期した相手方研究機関との打ち合わせのための出張をH28年度中に実施する。次年度使用額はH28年度請求額と合わせて使用する。
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Research Products
(4 results)