2014 Fiscal Year Annual Research Report
南アジアの農業・食料システムと持続可能な地域資源環境管理手法の構築
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25301003
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
下渡 敏治 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00120478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高樋 さち子 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (00261644)
ロイ キンシュック 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (10339294)
宮部 和幸 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (40409066)
長坂 貞郎 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (70318385)
上原 秀樹 明星大学, 経済学部, 教授 (80151827)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経済発展 / グローバル化 / 中所得国の罠 / 経済開発計画 / 食品製造・農産加工 / 食品流通 / 資源環境問題 / 食料安全保障 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、南アジア地域を研究対象に、持続可能なフードサプライチェーン形成のために必要な地域資源環境管理手法の構築のために、同地域における気候変動が農業・食料生産に及ぼす影響を定量的に把握するとともに、食料・農産物の生産基盤である地域の土地資源、水資源、森林資源などの資源環境の持続可能な管理システムの構築のための試論的なフレームワークを提示することを目的に調査研究を実施しており、本年度は主にインドおよびミャンマーを調査対象にした実態調査を実施するとともに、南アジアの中核をなすインドの農業・食料問題の概括的な分析と取り纏めををおこない、8月上旬に「インドのフードシステムー経済発展とグローバル化の影響ー」を出版した。本書は、インドの経済発展とフードシステムの変容を経済成長とマクロ経済の視点から整理するとともに、インドのフードシステムの国際リンケージ、経済開発計画の中でのフードシステムの位置づけの変化、インド農業の展開とフードシステムの構造変化を大豆増産プロジェクトと青果物のフードシステムに焦点をあてて分析した。さらに食品製造業・農産加工、食品流通業について分析し、最後に、インドのフードシステムを取り巻く社会経済環境の変化と資源・環境問題について、新たな経済格差問題の拡大とフードシステム、農村地域における環境問題とフードシステム、インドの食料安全保障とフードシステムが抱える諸課題について分析し、これらの分析を通じて、インドのフードシステムが抱える問題点と今後取り組むべき課題を明らかにしたことにより、次年度に本研究で取り組むべき課題と残された研究課題をより明確にすることができ、有意な研究成果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究2年目となる本年度は、研究計画に基づいてインド、ミャンマーでの実態調査の実施に加えて、8月初旬に、インドのフードシステムの全体像を整理した「インドのフードシステムー経済発展とグローバル化の影響ー」を刊行することができ、本研究で取り組むべき課題をより明確にすることができた点が評価できる。次年度の調査研究では、「インドのフードシステム」の出版過程で浮き彫りになった新たな課題、すなわち食品ロスを最小化するための方法、フードサプライチェーンの統合化のための政策的な課題、インドの社会慣行や労働慣行が農業・食料システムに及ぼしている影響などの残されたいくつかの課題の解明に取り組み、研究目的の達成に鋭意取り組んでいきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、研究最終年度となるため、インド、ミャンマーに加えて、ネパール、バングラデシュなど、これまでの調査研究で十分カバー仕切れなかった地域での実態調査を含めて、補足的な現地実態調査と情報収集、資料収集に努め、マクロレベルでの問題解明と同時に、よりミクロレベルでの問題解明に取り組み、フードサプライチェーン全体で捉えた場合の地域資源環境管理手法の構築と研究手法の確立に向けたより掘り下げた実態調査を実施し、研究目的の達成に努めたい。具体的な研究計画としては、研究代表者の下渡はすべての研究対象地域において補足的な調査を実施し、上原はインド、ネパール、ロイはインド、バングラデシュ、宮部、高樋はミャンマーのそれぞれの国・地域に分かれて、各々の分担課題にしたがって調査研究を実施する。長坂は現地で採取した実験材料を用いて国内で実験による研究を実施するものとする。
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Causes of Carryover |
研究分担者の高樋さち子氏は、調査対象国ミャンマーの受入れ先の事情によって平成26年度に予定していた現地調査の一部を27年度に実施せざるを得なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に予定していた現地調査を本年度実施するための費用として支出する。
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Research Products
(8 results)