2014 Fiscal Year Annual Research Report
三つの原発重大事故の健康・生活影響と社会支援の国際比較
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25301005
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
振津 かつみ 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10418965)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 原発重大事故 / チェルノブイリ / スリーマイル / フクシマ / 放射能汚染 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.現地調査:(1)フクシマ事故被災地調査:毎月平均2回、福島県及び周辺県の被災地を訪問し、被災者の聞き取りを行った。また要請に応じ、「被ばくと健康」等に関する学習会や「健康相談」等を行なった。(2)チェルノブイリ事故被災地調査:ベラルーシとロシアの被災地視察と住民の聞き取りを行った。(4月) (3)スリーマイル・アイランド(TMI)原発事故被災地調査についての打ち合わせ等のため、研究協力者S. Wingを日本に招聘した。また一緒にフクシマ事故被災地を視察した。(5月) (4)訪米調査:TMI事故後、同原発に勤務した保健物理専門家の聞き取りを行った。また国連本部で行われたワークショップにおいて、劣化ウランの遺伝毒性に関する報告を行った。(10月) 2.文献資料調査:(1)前年度に引き続き、三つの重大事故の特徴付けと比較のための資料収集を行った。(2)国際機関の見解の批判的検討:WHO報告書 ”Health risk assessment from the nuclear accident after the 2011 Great East Japan earthquake and tsunami, based on a preliminary dose estimation” (2013)及び、国連科学委員会報告書 “Levels and effects of radiation exposure due to the nuclear accident after the 2011 great east-Japan earthquake and tsunami” (2014)の批判的検討をまとめ、フクシマの健康問題等とあわせてレポートを作成し、関連のNGOによる出版物に投稿した。(出版に向けて調整中。) 3.被災者どうしのディスカッション:フクシマ事故被災者の生活状況は未だ厳しく、被災者自身がチェルノブイリ被災地を訪問するのは難しいため、フクシマ支援に取り組むNGOのメンバーとともにベラルーシとロシアの被災地を訪問し、今後の取り組みを検討した。ロシアの被災地のNGOメンバーを本研究の最終段階に計画しているシンポジウムに招聘する方向で調整に入った。(4月)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度にはフクシマ事故被災者とともにチェルノブイリ被災地を訪問し、被災者どうしの交流を行う計画だった。しかし、フクシマ事故被災地では、避難先からの帰還や生活再建等、被災者個々人の抱えている問題の解決が未だ優先課題となっている。そのような実情の下で、本研究のプロジェクトの一環としてチェルノブイリ現地訪問に参加できる候補者を、様々な問題を抱えている被災者自身の中から選ぶことは現時点では困難であると判断し、2014年度中に被災者とともに訪問することを断念した
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Strategy for Future Research Activity |
1. フクシマ事故被災者のチェルノブイリ被災地訪問については、被災地の現状を見極めながら来年度に再度検討する。本研究の期間内に実現しない場合は、最終段階で予定しているシンポジウムの中で、被災者同士のデスカッションを組み込み、内容を深めることとする。 2. 来年度2015年はヒロシマ・ナガサキ70年、その翌年の2016年はチェルノブイリ30年、フクシマ5年の節目にあたる。この歴史的な節目の時期に本研究の最終段階を迎えることを踏まえ、「核時代」の歴史的総括と「核のない未来」への展望もあわせて考察し、本研究の内容を深める。
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Causes of Carryover |
本年度末に、次年度使用額(35,939円)を超える旅費支出が必要となり、旅費の一括清算ができなかった。そのため35,939円を、次年度使用額として残し、来年度経費とあわせて清算することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度に、上記旅費を一括清算する。
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