2015 Fiscal Year Annual Research Report
三つの原発重大事故の健康・生活影響と社会支援の国際比較
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25301005
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
振津 かつみ 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10418965)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原発重大事故 / チェルノブイリ / スリーマイル / フクシマ / 放射能汚染 / 核被害者 / 人権 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.現地調査:(1)フクシマ事故被災地調査:毎月平均2回、福島県及び周辺県の被災地で、被災者の聞き取りを行った。また健康相談や「被ばくと健康」に関する学習会を行った。(2)チェルノブイリ事故被災地調査:ベラルーシ共和国モギレフ州の汚染地住民やミンスクの移住者の聞き取りを行った(9月、3月)。ロシア共和国ブリャンスク州の汚染地で、住民の健康管理、被ばく防護施策、地域NGO活動の実情を視察した(3月)。またモスクワの「チェルノブイリ同盟」(事故処理作業者、汚染地住民が所属する被災者団体)の活動及び、被災者支援法である「チェルノブイリ法」(1991年)制定の経緯と変遷について、聞き取りと情報収集を行った。(3)訪米調査(4月):研究協力者S.Wing(ノースカロライナ大学)と打ち合わせを行った。ペンシルバニア州のTMI事故の風下地域で事故の体験者に聞き取りを行った。また、米国の核政策と放射能汚染に関連し、ニューメキシコ州のウラン鉱山周辺に住む先住民の聞き取りを行った。(4)その他:ジュネーヴの国連人権理事会を視察し、原発重大事故被害者を含む「核被害者と次世代の人権」について、人権NGOと意見交換を行った(6月)。 2. 文献資料調査:前年度に引き続き、三つの重大事故の特徴付けと比較のための資料収集を行った。特に、事故後の小児甲状腺ガン、被災地住民の健康管理の実際、また被災者の人権や支援法について、調査を進めている。 3. 被災者どうしのデスカッション:ヒロシマ・ナガサキの被爆70年の節目に広島で開催された「世界核被害者フォーラム」(NGO主催)に際して、ロシアのチェルノブイリ被災者招聘に協力し、世界各地から参加した核被害者との議論を促した(11月)。また、同チェルノブイリ被災者とともに、福島県の被災地を訪問し、被災地視察とフクシマ事故被災者との交流を企画した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. 2015年度中に、フクシマ事故被災者とともにチェルノブイリ被災地訪問を考えていたが、フクシマ事故被災地では、生活再建、除染、等々、個々の被災者の抱える問題が未だ優先課題となっており、本プロジェクトの一環としての被災者のチェルノブイリ被災地訪問を本年度中に行うことを断念せざるをえなかった。 2. また、この研究プロジェクトの最後に計画している国際シンポジウムについては、来年度(2016年)の「チェルノブイリ30年・フクシマ5年」の節目に開催するのが時期的に望ましいと判断し、延期することとした。 3. 来年度の「チェルノブイリ30年」には、被災国で様々な国際会議等が計画されており、それらの情報もふまえて、本研究のまとめ作業を行う方がより有意義であると考え、まとめ作業を延期した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 「チェルノブイリ30年・フクシマ5年」の節目に、チェルノブイリとフクシマの被災者どうしのデスカッションを行うシンポジウムを開催する。開催にあたっては、広く市民社会に本研究の成果を還元できる具体的な方向を検討する。 2. 「チェルノブイリ30年」に被災国で開催される、様々な国際会議にも参加し、それらの情報もふまえて、本研究のまとめ作業を行う。
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Causes of Carryover |
「チェルノブイリ30年」の2016年度に開催される様々な国際会議にも参加して、研究成果を発表し、またそこで得られる情報や研究者との意見交換もふまえて、本研究のまとめ作業を行う方がより有意義であると考え、本科研費研究の期間延長を申請し(1月)、1年間の期間延長の承認を得た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「チェルノブイリ30年」の2016年に開催される国際会議等に参加し、研究成果発表、情報収集、意見交換等を行うための旅費等として使用する。
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