2014 Fiscal Year Annual Research Report
プロスポーツリーグの労使関係 -2000年以降の国際的動向-
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25301006
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川井 圭司 同志社大学, 政策学部, 教授 (50310701)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / プロスポーツ / 労使関係 / アメリカ / イギリス / オーストラリア / スイス |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度はイギリス(ロンドン、スコットランド)、アイルランド、スイスにおけるプロリーグの労使関係について実地調査を行った。具体的には、ラグビー、サッカー、クリケットの各選手会、そしてリーグ関係者とイングランドサッカー協会の元会長から労使関係の歴史的経緯および近年の動向と課題について聞き取り調査を実施し、そこで明らかになった論点について各国のスポーツ法研究者と議論を交わした。 そのほか、XVIII ISA World Congress of Sociologyにおいて日本スポーツをめぐる体罰・暴力問題について報告し、学校、スポーツ団体、さらには労使関係における問題改善の取り組みについて検討した。また、オーストラリアメルボルン大学が主催したSorts Law and Integrity Workshop に参加し、「黒い霧事件(プロ野球)」や「大相撲の八百長」などスポーツ賭博や八百長をめぐる問題を取り上げ、日本における賭博の概念や公営競技に関する規制、またスポーツ振興くじ(toto)の現状と課題を整理したうえで、八百長規制と選手の権利保護をめぐる労使の課題について分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外実地調査については、計画年度の前後はあるものの、予定通りに実施しており、おおむね順調といえる。他方、調査結果の整理と分析については、当初の予測を超える時間が必要となり、この点については今後の進捗に影響を与えることは必至となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカでは、昨年、大学スポーツ選手が「選手はプレーという労働を提供し、奨学金という賃金を得ている労働者である」として労働組合を組織し、組合認証を求めるに至った。また大学スポーツ選手の肖像権について争われたO'Bannon v. NCAAでは、大学スポーツによる収益を学生にも分配すべきであるという判決が下された。これはアマチュアスポーツとプロスポーツの境界がもはや存在しない実態を浮き彫りにするケースともいえる。また、ドイツでは、有期雇用労働者の無期雇用への転換をめぐり、プロサッカー選手への適用を容認した。このおうにスポーツ選手の労働法上の位置づけについての再考があらためて求められている。 こうした新たな動向について、アメリカおよび欧州での実地調査を行い、それぞれの事案の経緯と今後予想される動向を明らかにしていきたい。
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