2014 Fiscal Year Research-status Report
東南アジアの資源をめぐる国家・社会関係に関する比較研究
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25301008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 仁 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50313010)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 資源管理 / 東南アジア / 国家・社会関係 / タイ / カンボジア / ミャンマー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、資源年表の加筆を継続し、特にフィリピンとミャンマーの資源環境政策に関する既存研究の収集を行った。またその途中経過を国際的な視点から批判してもらうために、国際ワークショップを開催し、研究発表を行うとともに、今後の共同研究の構想についても議論を行った。東南アジアにおける資源環境政策前史として、貴重な議論を提示したジェームズ・スコット『ゾミア―脱国家の世界史』(みすず書房)を監訳出版した。類似のテーマを追いかけている英国シェフィールド大学地理学部のNem Sign 講師も、2014年夏に訪問研究員として2週間招聘し、この間、上記のワークショップを実施しただけでなく、様々な面で共同研究、共同執筆の打ち合わせを進めることができた。 タイと日本の資源行政史を比較した研究成果を歴史・人類学の有力誌であるComparative Studies of Society and History に掲載し、カンボジアにおける漁業資源と資源行政に関する現地調査の成果を有力学術誌であるJournal of Development Studies および International Journal of the Commons にそれぞれ共著論文を掲載し、あわせて日本語書籍の分担執筆も行った。今年度は、とくに理論的な整理を行うための作業が大きく進展した。その素描については秋道智哉編『日本のコモンズ思想』(岩波書店)に「自然の支配はいかにして人間の支配に転ずるか」という章題で収録した。また、本科研の研究成果を一般向けにまとめた著書を『支配の環境政策』というタイトルで2015年夏から秋にかけて出版する見通しを立てた。 最終年度は、遅れがちになっているミャンマーとフィリピンの現地調査を精力的に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カンボジアでの現地調査から2本の英文ジャーナル論文掲載、1本の書籍分担執筆(査読付き)にこぎつけ、これとは別に1冊の監訳書を完成させたこと、また一般向けの啓蒙書の草稿を完成させて出版準備に入ったことなどを総合すると、達成度は概ね順調であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで遅れていたミャンマーとフィリピンにおける現地調査を実施して、構想中の英文書籍の全体像に関するイメージを作ることに集中したい。また、資源環境行政というテーマの重要性について啓蒙書を出版して、一般におけるこのテーマの理解普及に努めたい。
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