2014 Fiscal Year Annual Research Report
朝鮮民主主義人民共和国のアフリカ諸国に対する軍事支援や武器取引の調査
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25301021
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Research Institution | Seigakuin University |
Principal Investigator |
宮本 悟 聖学院大学, 政治経済学部, 特任教授 (70412137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池内 恵 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (40390702)
岩田 拓夫 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (60375384)
佐野 康子 獨協大学, 外国語学部, 講師 (90438812)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 北朝鮮 / アフリカ / 中東 / 武器輸出 / 武器不拡散 / 国連安保理 / 経済制裁 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度の研究実績の概要は、以下の通りである。1.北朝鮮や中東・北アフリカ、サブ・サハラの書籍や新聞、論文などの収集と分析を行った。2. アフリカやイギリスに行って、当地のシンクタンクや政府機関、新聞社、図書館、大使館でインタビューや資料収集を行った。3.それらの成果としては、雑誌論文9点、学会報告5点、著書2点を発表した。 北朝鮮や中東・北アフリカ、サブ・サハラの書籍や新聞、論文などの収集は、研究代表者や研究分担者、連携研究者、研究協力者がそれぞれの分野で収集し、分析を行った。ただし、2014年度は中東・北アフリカの情勢が非常に不安定であり、まずその地域における軍事・テロ情勢を理解しなければ北朝鮮との関係も把握できないため、その情勢を理解するために力を注いだ。そのため、研究の成果は必ずしも北朝鮮との関係まで把握できたものではない。しかし、これらは北朝鮮との武器取引などを把握するための基礎的な知識になる。 また、サブ・サハラとイギリスでの資料収集については、2014年8月から9月にかけて研究代表者と研究分担者が訪問して、資料収集と関係者に対するインタビューを行った。ただし、サブ・サハラで訪問できたのは、北朝鮮との武器取引疑惑が挙がっていた東アフリカの比較的治安の良い特定の国々に過ぎなかった。東アフリカでも特定の国々にしか行けなかったのは、東アフリカで北朝鮮との武器取引が疑われている国の中には、テロ活動や治安の悪さのために訪問が不可能な国々があったからである。また、西アフリカはテロ活動の活発化とエボラ出血熱の広がりを受けて、訪問計画を中止した。従って、2014年度のサブ・サハラとイギリスへの訪問による成果は、東アフリカに関してのみである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2014年度は、海外調査では計画よりも遅れている。それは現地で資料収集やインタービューをできる環境が大きく失われたからである。まず、サブ・サハラでもテロ活動やエボラ出血熱などの広がりによって、訪問して資料収集やインタビューをできる国々が限られてしまった。2015年度に研究代表者が西アフリカ・南部アフリカ訪問による現地調査を再び試みるが、それも情勢を見ながら判断しなくてはならない。さらに、中東・北アフリカでは軍事・テロ情勢の変化や広がりによって、研究計画を立てた時点での情勢が大きく様変わりしてしまった。中東・北アフリカでは、北朝鮮との関係まで現地で調査することはかなり困難な状況になったと言わざるを得ない。 ただし、2014年度は、計画していたよりも成果はかなり多く発表できたので、その点では計画以上に進んでいると評価できる。また、中東・アフリカに対する北朝鮮の武器取引の問題については。研究代表者も各地で講演したり、メディア出演をしたりするなどして、日本国内での認知度も高まっているため、計画以上の成果を得ている。研究代表者は 日本だけではなく、韓国でも注目され、韓国メディアからの取材まで対応している状態である。この傾向は2015年度も続いていくと想定される。また、この科学研究費助成事業で収集した資料やインタビューによって研究を進めるにつれて、北朝鮮の中東・アフリカにおける武器取引や軍事サービス提供に限らず、流動する中東・アフリカのテロ・軍事情勢、政軍関係なども副産物として判明しており、それらも研究業績として発表しているため、計画以上の研究成果を蓄積できたと評価できよう。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は、研究代表者と研究分担者がそれぞれ西アフリカと南アフリカ周辺、北アフリカを訪問して、引き続き資料収集とインタビューを行いたい。ただし、それもテロ・軍事情勢や感染症の蔓延状態によって、渡航期間や渡航国を外務省やメディアなどと相談しながら、決めていく必要がある。残念ながら、テロ・軍事情勢や感染症の蔓延については、明るい展望は見いだせていない。6月までに渡航期間や渡航国を決定した上で、アフリカを訪問して調査を行いたいと考えている。また、北朝鮮のアフリカに対する武器や軍事サービスの輸出に関連する中東地域であるイエメンやシリアに関しては、あまりに治安が悪いために調査を断念することにした。中東地域では、イスラエルとイランを調査対象として考えている。
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Causes of Carryover |
2014年度における中東・アフリカでのテロ・軍事活動とエボラ出血熱の拡大によって、中東・アフリカでの訪問国がかなり制限されたことで、海外渡航費を計画していたよりも使用する機会を得ることができなかった。また、コピーや書籍購入に関しても、スキャナーによって、可能な限り電子データにすることで、費用を低減することができた。さらに、韓国へ渡航費は、メディアなどが渡航費用を負担することによって、科学研究費を使用する必要があまりなくなった。その結果、物品費や海外渡航費が計画していたよりも消費しなかったことが原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度には、2014年度に訪問して調査する予定であったにもかかわらず、テロ・軍事活動とエボラ出血熱の拡大によって訪問できなかった地域を訪問する予定である。2014年度のテロ・軍事活動とエボラ出血熱の拡大は、現地における調査の遅れを生じさせた。その遅れを取り戻すために、情勢の変化を見ながら、中東・アフリカへの海外渡航費として科学研究費を使用する計画である。さらに、2015年度は学会発表を数多くこなす予定であり、そのための移動・宿泊費としても使用する予定である。また、さらに資料収集やインタビューのためにも使用する予定である。
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Research Products
(16 results)