2014 Fiscal Year Annual Research Report
市場経済形成期における村落的共同性の社会経済史的比較研究-日本とバリ-
Project/Area Number |
25301028
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長谷部 弘 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50164835)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 村落共同体 / 市場経済と共同性 / バリ農村 / アダットとディナス / 上塩尻村 / 比較研究 / チョウジ栽培 / 蚕種業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2年目として、初年度の研究の延長上に、合同研究会や日本の村落補充調査と検討会、バリ農村史料調査(3回)と面接アンケート調査の開始、そして研究成果の公開等について一定の実績をあげることができた。以下、その概要を述べる。 1. 合同研究会と日本の村落補充調査・検討会について:連携研究者および大学院生等を中心として、合同研究会(5月、8月)および村落補充調査を実施した。 2. バリ農村実態調査とバリ農村面接アンケート調査について:3回におよぶインドネシア・バリ州での海外調査を通し、バリ島北部ブレレン県シンガラジャ周辺地域の山村地域について特に種苗生産業者とその生産地域を中心として広く村落調査を行い、バリ島北部に進展してきた商業的農業の構造を調査した(継続中)。さらに、前年度から引き継いだスクンプル村を中心とするインテンシブな悉皆面接アンケート調査に着手し、すでに実施したパイロット調査をうけて、全面調査に取り組んでいる(現地研究協力者とともに4ヶ月間のスケジュールで継続中)。さらにバリ州およびブレレン県の農業局・農林局・統計局のヒアリング調査と資料調査を行い、これまで非公開であった1980年代以降の多くの官庁統計資料や行政文書を入手し、その整理とデータ入力・分析作業に着手しつつある。 3. 研究成果の公開について:研究成果の一部を、主に国内の村落事例に関わらせながら公開しつつある。国内では、7月に市場史研究会(立教大学)および11月に比較家族史学会(愛媛大学・松山)での成果報告を行った。また海外では4月下旬オーストリアのウィーン大学で開催されたEuropean Social Science History Conference(欧州社会史学会)での報告を行った。また、日本村落研究学会年報『村落社会研究』に関連する論説を投稿誌、掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドネシア・バリの北部ブレレン県を調査対象として、県警する統計データ・官庁行政資料の調査を行い、これまで公開されてこなかった過去30年以上にわたる諸資料の入手に成功し、また関係する農村各地域に於ける主要農家・地主資産家から、私文書の提供を受けつつある点で、予定していた以上の市長調査実績をあげつつあるが、前年度まで地域的な政治状況の不安定さから実施が遅れていたブレレン州スワン区スクンプル村300戸余りを対象とする悉皆面接アンケート調査プログラムに本格的に着手することが叶い、現地の研究協力者と共に調査を実施中である。年度末までにそのプログラムが終了せず、その意味で当初の計画通りの進展ぶりとはなっていない。その意味で「おおむね」という区分を選択した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究実績を受けて、次年度以降の二年間において、初年度の研究の延長上に、定例の合同研究会、日本の村落補充調査と検討会、バリ農村史料調査、面接アンケート調査の開始、盗難アジアの他国の農村比較調査(タイ国一回)、内外の学会およびジャーナルでの研究成果の公開などを進めていく予定である。研究全体の推進を阻害する要因は現時点では存在しない。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額(399,917円)が生じた理由は、基本的に、インドネシア・バリにおいて実施するアンケート(スクンプル村300戸程度、現地協力者に依頼しての悉皆面接アンケート方式)が、地域の政治事情によって予定より一年遅れ、その結果、実施計画が実質的に延長され、計画の終了時期が次年度2016年度にかかることとなったためである。その内訳は、アンケート実施謝金と回答者への謝礼品の費用、回収費、そして若干の分析費用などである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、年度半ばまでに面接アンケートの調査票回収を終える計画なので、使用上大きな問題は生じない予定である。
|
Research Products
(6 results)