2014 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける宗教多元化と宗教政策の比較社会学的研究
Project/Area Number |
25301037
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
櫻井 義秀 北海道大学, 文学研究科, 教授 (50196135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 則弘 愛媛大学, 法文学部, 教授 (10192676)
川田 進 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (10288756)
稲場 圭信 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (30362750)
田島 忠篤 天使大学, 看護栄養学部, 教授 (40179693)
首藤 明和 長崎大学, その他部局等, 教授 (60346294)
寺沢 重法 北海道大学, 文学研究科, 助教 (60632156)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 政教関係 / 社会参加仏教 / 東アジア / 公共宗教 / 社会福祉 / グローバリゼーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、①日本・韓国・中国・台湾・香港・モンゴルの宗教多元化状況とそれに対応した宗教政策(非介入の政策含む)の動きを調査し、東南アジアのタイとも対照させながら地域的特質を明らかにする。さらに、②多文化の共生を保障する法制度と政教関係の構築過程を市民社会形成に位置づけることであった。 本年度の顕著な研究成果は、櫻井義秀・外川昌彦・矢野秀武編、2015、『アジアの社会参加仏教-政教関係の視座から』北海道大学出版会、A5判全437頁、を刊行したことである。同書は、「宗教と社会」学会創立20周年記念企画テーマセッションから生まれたものであるが、本計画の基本的なテーマに沿った論文を収録することができた。本書では、まず、近年脚光を浴びる「社会参加仏教(Engaged Buddhism)」という概念を手がかりに理論的な考察が示され、近代以降の世界における社会と宗教の関係や、国家と宗教の関係を捉える諸論点が整理された。そして、具体的な記述として「第Ⅰ部 東アジア」「第Ⅱ部 東南アジア」「第Ⅲ部 南アジア」では,各地域の諸国における宗教事情・仏教事情に関して、法や行政制度の変遷についての情報、統計情報、フィールド調査で得られた情報などが提供され、それら諸情報に基づいた議論が展開されたのである。 その他、研究代表者・分担者共に国内外で研究発表を行い、日中社会学会においては香港アジア社会研究会との共同で中国宗教研究のセッションを持つことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既に述べたように、櫻井義秀・外川昌彦・矢野秀武編、2015、『アジアの社会参加仏教-政教関係の視座から』北海道大学出版会、A5判全437頁、を刊行し、本研究の基本的なテーマに係る成果は出せたことによる。 グローバリゼーションが進展し,社会が大きく変貌しつつある現在,人々のつながりや絆を再構築する宗教の役割が注目されている。本書は,そうした今日的な宗教の役割を考える狙いから,アジア諸国における仏教の社会的役割の多様な実態を明らかにし,また,その実態を規定する各国特有の政教関係(政治と宗教の関係)を検証したものであり、関連学会における評価が待たれるところである。
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Strategy for Future Research Activity |
前掲書アジアの社会参加仏教-政教関係の視座から』では、東アジア、特に中国の宗教状況に関しては、中国宗教の宗教文化論、ダライラマ14世によるチベット仏教とチベット自治の関連をめぐる考察、中国の社会福祉政策と宗教の社会貢献活動に関する概説の3本しか論考を収録できなかったので、中国宗教に関する調査研究の論考をまとめる必要がある。 本年度は、中国・韓国・モンゴル・香港での補足調査を行いつつ、東アジアの社会変動と宗教文化変容に係る報告書をまとめ、2016年度の刊行を視野に入れた研究の集約を行う予定である。 また、海外の学会発表として、2015年7月の国際宗教社会学会(ルーヴァン)、8月の国際宗教学・宗教史学会(エアフルト)において、それぞれ研究成果発表のセッションを主催する予定である。
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Causes of Carryover |
50万円ほどの繰越金が発生したが、韓国・モンゴルにおける調査予定が分担研究者・研究協力者のそれぞれの本務の都合から調査日程が取れず、実地調査が遂行されなかったことによるものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は最終年度であるため、研究成果報告の外国旅費、補足調査の外国旅費等に繰り越し分を充当する予定である。
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Research Products
(13 results)