2013 Fiscal Year Annual Research Report
子育て家族のためのソーシャルサポートに関する日本・中国・韓国の比較調査研究
Project/Area Number |
25301047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
七木田 敦 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (60252821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 剛太 香川大学, 教育学部, 准教授 (50432703)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 子育て支援 / 育児ストレス / 養育 / 国際比較 / 中国 / 韓国 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中国、韓国、そして日本での子育て中の母親・父親への調査を通じて、家族の育児不安やストレスを低減し、そのQOL(生活の質)を高めるには、どのような子育て支援及びソーシャルサポート(社会的支援)が必要であるかということを明らかにすることである。特に子育て中の母親だけでなく、父親も調査の対象にすることで、母親の不安やストレスの軽減に通じる支援について夫婦の間での心理的な依存関係も踏まえ明らかにする点で意義がある。日本、中国、韓国の国際比較の視点から検討された適切な支援が実行されることで、身体的虐待やネグレクト、そして貧困から生じるストレスといった家族の一般的な問題を解決することに寄与するものと考える。本年度は、中国北京市在住の子育てをする親(父親90名、母親90名)を対象に、どのような子育てニーズを有しているのか、そのニーズは現在家族が置かれている状況、例えば、保育所幼稚園から小学校への接続期、教育支援、社会保障などによってどのように変化するのか、について量的な調査を実施した。調査内容については、子育てにかかわる社会的支援についてその要因は複合的であるため、そこでこれまでの研究において妥当性や信頼性、内的整合性などが確認された下記の質問方法を再考し、北京師範大学、ソウル神学大学の連携協力者と共同して対象者に負担のない簡便なものとして作成した。1.Family Support Scale (Dunst, Jenkins, & Trivette, 1984) 2.Inventory of Social Support Behavior (Barrera, Sandler, Ramsay, 1981)、3.Parenting Stress Index (Abidin, 1983)、4.Quality of Life Inventory (Frisch, 1998)5.Sense of Coherence Scale (Antonovsky, 1987)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究目的の実施のために、効果的な社会的介入の方法や、ソーシャルサポートを公的にするための方法を提案することが求められた。今後、意義ある国際比較研究を実行に移すために、日中韓の参加者が一同に会して活発に知識や意見の交換をし、綿密で実行可能な研究計画を練ることが不可欠となった。そこで、主任研究者が、北京、ソウルを訪問し、中国韓国の研究協力者と研究期間内に明らかにする次の2点を確認した。 1.日本・中国・韓国の子育て家庭の育児ストレス、生活の質(QOL)の実態について 上記で検討したアプローチにより、日本・中国・韓国の家族を対象に、調査に基づいた質的研究を実施する。保育所幼稚園から小学校への接続期、ヘルスケアと教育支援、障害の診断などについて、グループインタビュー(FGI)や観察による質的研究によって、量的研究ではとらえられない異なった社会―文化的背景での「生の現実」について明らかにする。とりわけ、子育て家族の家族構成に着目し、子ども、父親、母親、そして祖父母などにも可能な限り調査を実施し、家族成員間での比較をする。 本年度は以上にに基づいて、中国北京で大規模な調査を実施した。これは研究計画に即したもので、研究が順調に進んでいるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、韓国・ソウル市において、0歳から6歳までの乳幼児を子育て中の家族(父親、母親)を対象に調査を行う。同様に、日本の広島市、名古屋市、高松市において、乳幼児を育てる家族(父親、母親)を対象に調査を行う。具体的な対象者は、名古屋で100家族(0-3歳の子どもを育てる家族50組、3-6歳の子どもを育てる家族50組)、高松で50家族(0-3歳の子どもを育てる家族25組、3-6歳の子どもを育てる家族25組)、広島で100家族(0-3歳の子どもを育てる家族50組、3-6歳の子どもを育てる家族50組)、ソウル市で30家族(0-3歳の子どもを育てる家族15組、3-6歳の子どもを育てる家族15組)の計330家族である。前年度協議した質問紙を用いて、中国・韓国と日本の調査結果を比較検討する。 さらに韓国ソウル市、高松市のそれぞれ5家族程度を対象に、半構造的インタビューを中心とした質的研究(フォーカス・グループインタビュー)を実施する。これにより得られた知見と、質問紙による量的研究から得られた結果をあわせて、日本・中国・韓国の子育てをする家族のソーシャルサポートの実際、育児不安とストレス、そして生活の質(QOL)について総合的に考察を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題について、来日して、研究協議する予定の北京師範大学の霍力岩教授、李敏谊准教授が、勤務先の大学の都合で、来日できなかったため、渡航費として用意していた費用を使うことができなかった。次年度では、2名の共同研究者が来日するために使用する予定である。 北京師範大学霍力岩教授、李敏谊准教授の来日(11月28日-12月1日)の費用として計上する。
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