2013 Fiscal Year Annual Research Report
スウェーデンでの気球実験による硬X線偏光観測と高感度な焦点面偏光計の開発
Project/Area Number |
25302003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 弘充 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10536775)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | X線γ線天文学 / 偏光 / 気球実験 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日米欧の国際研究チームでスウェーデンからPolarized Gamma-ray Observer(PoGOLite)気球を打ち上げ、硬X線帯域において天体からの本格的な偏光観測を実施することと、将来の望遠鏡と組み合わせた高感度観測を実現するために、焦点面に置く偏光計をスウェーデンチームと共同で開発することである。 今年度は2013年6~7月にスウェーデン・キルナにあるEsrange気球実験場に滞在し、PoGOLite検出器のフライトを成功させることに尽力した。6月中にフライトの準備を完了させ、その後に天候を待ち、7月12日に放球した。7月26日にロシア・ノリリスク近郊に着陸するまでの2週間にわたって、グリーンランド、カナダ、ベーリング海峡の上空を高度40km近くを保ったままフライトさせることに成功し、北極圏を周回する長時間フライトを達成することができた。ロシアからの戻ってきた検出器のデータ解析は現在進行中である。 望遠鏡の焦点面に置く新しい検出器には、小型でかつ常温でも利用可能な光半導体検出器であるMulti-Pixel Photon Counter(MPPC)の利用を考えている。実際に偏光計において、入射光子の散乱体となるプラスチックシンチレータ、吸収体となるBGOやCsI(Tl)、GAGGシンチレータの読み出しを行った。今後は、回路の最適化などを行い、実際の偏光計として性能を発揮できるかどうかの検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に予定通りPoGOLite気球実験の放球を行うことができた。 また将来を見据えた検出器の開発も進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
PoGOLiteで実際に取得できた観測データの解析を進める。 またMPPC検出器で、偏光計として重要な性能である、低エネルギー側の信号をどこまで検出できるかの実証を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初はPoGOLite気球実験で取得した観測データの解析を行うため、共同研究先のスウェーデンに訪問する旅費を見込んでいた。しかし、着陸したロシアからPoGOLite検出器がスウェーデンに輸出されるまでに約5ヶ月も輸出手続きに時間がかかったため、その分データ解析の開始が遅れてしまい、スウェーデンへ出張する回数も少なくなってしまったため。 現在PoGOLiteは無事にスウェーデンへ戻ってきておりデータ解析は進んでいる。よって当初の予定通りに、このデータ解析をスウェーデンチームと共同で行う際に必要となる旅費に利用する予定である。
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Research Products
(10 results)