2013 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国の世界遺産地域における維持可能な情報通信技術の応用に関する実践研究
Project/Area Number |
25303001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高田 潤一 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (90222083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 しのぶ 東京工業大学, 学術国際情報センター, 教授 (40345369)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際協力 / ラオス / 情報通信技術 / GIS |
Research Abstract |
(1) 地理情報システム(GIS):(a)全遺産地域29村の全建築物4323点に対するGISを構築するため,現地チームが複数の電子地図を相補的に統合した基盤地図データを構築した.また,全建築物に対して定期的な収集・更新が可能な手法及びデータセットについて検討し,建築物写真を用いたデータ収集方法を採用した.建築物の用途,状態,建築様式,材料,屋根材,階数に関するデータベースを構築し,全建築物に関するデータの収集・入力を行った.(b)商用GISソフトウェアを維持コストの観点からオープンソースGISソフトウェアに置き換える可能性について,機能および操作性の観点から調査検討を行い,置き換えに十分なフィージビリティがあることを確認した.(c)GISデータの一つである,建築許可データベースは,過去の共同研究で開発して以来,データの更新がなされていない.情報システムの持続可能性の観点から原因究明を行い,商用ソフトウェアの使用およびワークフローの見直しを含む複数の解決策を検討し,プロトタイプの作成に着手した. (2) 街並み景観アーカイブ:これまで魚眼レンズを回転させて撮影した4枚の画像を合成して作成していたため,交通量の少ない時間帯でしか撮影できなかった全方位パノラマ写真の撮影が,新たに商品化された全方位パノラマカメラにより1回の撮影で可能となった. (3) 地域住民の意識向上:(a)防護動機理論に基づいて,遺産保護に関する意識を高めるためのモバイル学習アプリケーションと,意識向上の効果を評価するためのアンケートを開発した.現地大学においてパイロット評価を行う準備を進めている.アプリケーション開発に際しては現地スタッフに対してソフトウェア開発研修を行った.(b)現地一般市民を対象として遺産保護意識向上のキャンペーンを行い,参加者に対して遺産保護意識に対するアンケート調査を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GISのベース地図およびデータ収集は複数年を掛けて実施する予定であったが,現地チームを中心に作業が迅速に進み,予定より早く終了した. 一方,街並み景観アーカイブについては機材は整備されたものの,街並み監理の方法に関する検討が十分に進まなかった. モバイルアプリケーションについては計画通りに進捗している.
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Strategy for Future Research Activity |
GISに関しては高度な情報技術を使用せずに,定期的な実施が可能なデータ収集方法を確立したため,当初計画していたモバイルGISによるデータ入力等は不要となった.一方で建築許可といったより高度な情報のアーカイブにあたっては,データベースとドキュメントの電子化をうまく組み合わせたワークフローを開発し,継続的にデータベースの更新がなされるよう留意する. 街並み景観アーカイブについては,引き続き街並み監理の観点から求められる使用を明らかにして,新しい機器を使用したパイロットを実施したい. 学生の意識向上に関しては,アンケートの内容およびアプリケーションのコンテンツを精査し,より大規模な調査を実施する予定である.また,地域住民に対する意識向上のキャンペーンが予想以上に成功したため,定期的な開催とそれを通じた意識調査を行う予定である.
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Research Products
(2 results)