2014 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム都市農村連環発展に起因する生活質の変容と社会的脆弱性に関する調査研究
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25303005
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
小林 広英 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (70346097)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 滋穂 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (10135535)
田中 樹 総合地球環境学研究所, 砂漠化をめぐる風と人と土プロジェクト, 准教授 (10231408)
水野 啓 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (10260613)
河井 紘輔 独立行政法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 研究員 (10531501)
北野 慎一 京都大学, 農学研究科, 助教 (20434839)
西前 出 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (80346098)
吉積 巳貴 京都大学, 学際融合教育研究推進センター森里海連環学教育ユニット, 准教授 (30423023)
原田 英典 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (40512835)
真常 仁志 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (70359826)
青木 美紗 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (50721594)
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| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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| Keywords | ベトナム / 都市農村連環 / 都市化 / 経済発展 / 社会的脆弱性 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】
本研究は、急速に発展するベトナム中部において、都市化・市場経済化にともなう都市域とその周縁農村域に居住する住民の生活質（居住環境、食生活、環境衛生、生業活動、コミュニティ）の変容を検証し、新たに生じる社会的脆弱性の実態を明らかにする。都市と農村の連環からその因果関係を理解することで、都市と農村の暮らしに資する持続的な都市農村連環発展モデルを構築する。
【研究実績の概要】
本調査研究に関連する各小テーマ、①健全な居住環境、②安全な食生活、③適切な衛生環境、④安定的な生業活動、⑤地域コミュニティ、に関して各々具体的な研究課題を設定し調査を実施した。①では山間農村部における少数民族の居住環境と開発影響に関して、国際会議発表1報、著作2編、また都市旧市街の居住環境と市街地再開発の影響に関して、論文1報、国際会議発表1報、著作2編、②では環境配慮型農業生産に関して国際会議発表1報、③では都市の衛生リスク実態に関して論文3報、国際会議発表3報、及び都市移住者による有価物回収労働の実態に関して、国際会議発表1報、④では少数民族集落の新規小家畜による副生業の形成に関して、論文2報(内1報査読有)、国際セミナー発表2報、及び山間農村地域の生業構造と都市化影響に関して 国内学会発表2報、国際セミナー発表1報、⑤では都市地域コミュニティの伝統的行事や相互扶助の変容に関して論文2報(内1報査読有)、国際会議2報、著作1編、にまとめている。また、平成26年9月にインドシナ地域の研究者が集まりベトナム・カントーで開催したJSPSシンポジウム(京都大学地球環境学堂、ハノイ理工科大学、カントー大学主催)で、本調査研究の内容や進捗について共同研究者や研究協力者、関連の研究者・専門家との意見交換・情報共有を図った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の実施計画は、①健全な居住環境、②安全な食生活、③適切な衛生環境、④安定的な生業活動、⑤地域コミュニティ、の各小テーマに関する具体的な課題の取り組みである。主な研究の進展は以下の通りである。①に関しては、都市部の電力需要増加による水力発電の建設など山間地域の開発や政策にともなう少数民族の居住環境変容に関して、フエ省ナムドン県における伝統的コミュニティハウスを事例に調査をおこない、開発に伴いほとんどの集落で伝統建築が失われている状況を把握した。また、フエ歴史都市旧市街の経済的発展にともなう京城内集落や伝統的庭園住宅の居住環境変容について調査し状況を把握した。②に関しては、ベトナム特に中部地域における農業生産、特に環境配慮型生産に関する統計データの渉猟及び文献調査を行うとともに、次年度実施予定の農家家計調査の事前準備をおこなった。③に関しては、フエ市の日常生活における水利用調査から、供給水質は良好であるが生野菜及び氷由来の衛生リスクは高いことを確認し、物質フロー解析の結果都市下水が水環境の大きな負荷源になっていることを明らかにした。また都市の有価物処理に関してこれに従事する出稼ぎ労働者にヒアリング調査を実施しその実態を把握した。④に関しては、フエ省ナムドン県に一集落全世帯(157世帯)を対象に、生業や土地利用について統計解析し、都市化の影響による農村部の生業構造の変容を明らかにした。また、フエ市近郊の山間部集落において小家畜の飼養による副生業を形成し、生計向上と生態環境保全の両立に資する実証実験をおこなった。⑤に関しては、フエ市において地域コミュニティの活動内容や互助組織の構造、共同体ネットワーク、地域文化の維持について調査し、都市化の進行によりコミュニティの共同による伝統的行事や相互扶助の強度が弱まっていることを明らかにした。
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| Strategy for Future Research Activity |
【今後の推進方策】
今年度に実施した各小テーマに関する継続的な研究調査を適宜おこない、テーマ毎に生活質変容の要点抽出と類型化を行なう。特に今年度の研究活動では複合的な生活質の変容要因が見られたが、この視点から社会脆弱性の構造を捉え理解することで都市農村連環発展の方向性を検討する。この機会として2015年7月末にベトナム・ダナン実施されるJSPS国際シンポジウムで、現在取り組んでいる各小テーマの研究経過や研究成果を報告し、共同研究者、研究協力者、及び各テーマに関連する研究者や専門家との意見交換、情報共有を図る。また、最終年度の総括として共同研究者間で議論をおこない、上記の生活質変容・複合的な変容要因の明示・社会脆弱性の指摘・健全な方向性の検討を主な項目としてまとめる。
【次年度の研究費の使用計画】
今年度フィールド調査の渡航滞在費を予定していた一部を繰り越したため、次年度研究費と合わせて同目的のフィールド調査費用として集中的に現地での情報収集を実施する。
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| Causes of Carryover |
主に平成26年度に予定していた調査渡航滞在の計画が、現地との調整がうまくいかなかった等事由から平成27年度に繰り越すこととなった。平成27年度も基本的に継続的なフィールド調査を共同研究者がすでに予定していることから、研究実施上問題なく遂行できる。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の経費執行について、各小テーマに従事する共同研究者へ進捗状況に合わせた渡航滞在費を配分した上で、追加フィールド調査等の要求があるテーマに関して、平成26年に繰り越した経費を柔軟に割り当てる。また、平成27年7月末にベトナム・ダナン予定しているJSPS国際シンポジウムに共同研究者の参加を要請し、研究進捗状況の報告、研究成果の共有や還元を図る。
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[Presentation] Phosphorus flow analysis in Hue Citadel: preliminary results2014
Author(s)
Tran Nguyen Quynh Anh, Hidenori Harada, Shigeo Fujii, Pham Khac Lieu and Shuhei Tanaka
Organizer
The 2nd international Symposium on Formulation of the Cooperation Hub for Global Environmental Studies in Indochina Region by JSPS Core-to-Core Program
Place of Presentation
Can Tho University, Vietnam
Year and Date
2014-09-27
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