2014 Fiscal Year Annual Research Report
海洋微生物の共生-進化系理解のための日-欧連携フィールドワーク
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25303008
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中尾 洋一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60282696)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 共生微生物 / 海綿 / エピジェネティクス / 生理活性物質 / メタボローム解析 / メタゲノム解析 / 国際研究者交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度はBavestrello、およびD’Auria、Zampella教授との共同研究において、8月29日~9月7日の期間でイタリアを訪問し、ジェノア(ジェノア大学、Giorgio Bavestrello教授)、およびイスキア島(ナポリ大学、Maria Valeria D’Auria教授およびAngela Zampella教授)とイタリアの南北2か所において海綿の採集を行った。採集対象として、日本国内でも近縁種が採集可能なPetrosia属、およびIrcinia属、Agelas属の海綿を中心に海綿を採集し、メタゲノム解析用およびメタボローム解析用のサンプル調製を行った後、LC-MSによるメタボローム解析および化合物の生理活性評価を行った。今後さらに共生微生物のメタゲノム解析を行う対象サンプルの選定について、以上のデータをもとに現在検討を行っている。一方、ユニークな生理活性テルペノイドを含有する鹿児島県奄美大島産の海綿2種を採集し、これらを実験室内の水槽において長期飼育することに成功した。本海綿2種についてLC-MSによるメタボローム解析およびテルペノイドを生産する共生微生物の分離実験を行っている。さらに鹿児島県産Mycale属海綿については、エピジェネティクス制御に関わるヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害活性剤が含まれていることから、今後共生微生物による宿主動物細胞の機能制御に本物質がかかわっていることも考えられるため、生理活性試験と組み合わせて詳細な成分分析を行うとともに、本化合物の生産微生物の同定および培養について検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イタリアにおける共同研究者と連携して、イタリア国内南北2か所でサンプルの採集ができた。これらのサンプルは同種のものも含まれており、その主要な含有成分についても知見があるため、南北の地域差が共生微生物層および成分組成に及ぼす影響を比較することが可能である。また、これらの種は日本国内にも近縁種が知られており、当研究室内が保有するサンプルコレクションに近縁種が含まれている。現在はこれらのサンプルに含まれる二次代謝産物組成および共生微生物組成を南北間(イタリア国内2か所)および東西間(日伊間)で比較検討を行っており、海綿内における共生関係の成立維持機構を明らかにするための研究は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は昨年度採集したサンプルの詳細な分析を行い、共生微生物間または微生物-宿主間の相互作用をエピゲノムレベルで解析する。また、イタリア側共同研究者を招聘して、日本側でのフィールド調査に参加してもらったうえで、二次代謝産物の共生維持シグナルとしての機能解析研究を行う。
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Causes of Carryover |
平成26年度内の研究として予定していた実験に必要な消耗品費に余裕が出たため、研究費が大きく減額する最終年度において消耗品費等の購入費を確保しておくため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の予算に組み込んで消耗品等の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)